鬼滅の刃

□敢為邁往
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前回からの続きである。
柱同士の羽根つき大会。
音柱と嫁対炎柱と名字の戦いは白熱していた。
主に宇髄と名前が。
煉獄と嫁(雛鶴さん)は蚊帳の外状態で、優秀な相棒が動いてくれるものだからのほほ〜んとしている。

まだ、どちらも点数を入れられず、(だからして一点先制した方か勝ちと言う)
目で追えぬ速さで行き来する羽根。
羽子板と羽根だけが物凄い音を立てて行き来する。
もう一度言おう、
羽子板遊びとは何ぞ?と。


「しっつこいなぁ!早う死に晒せ!!」 
「オメェこそ、そろそろ限界近いだろが!!」
「は?限界?何それ?煉獄家の可愛さ超える位美味いんで〜すかっ?」
「知らんわ!!!!」
「そー言う、う〜さんっも!そろそろヤバいですやろ?ほら、負けよし負けよし!そして泣きよし!嫁が後ろで控えとるで!!んで、嫁3人に包まれて乳で、圧迫死しろ。そしたら私は煉獄さんにナデナデされて無事に死ねるんや!!どうや!どっちも良い思いすると思わんかっ!!」
「欲丸出しか!!」
「人はいつ死ぬか分からん、から!私は欲丸出しで、思うがまま生きていくと決めたんや!!人の一生はいつ途切れるか分からんからの!若くして死ぬ連中が多い、して思えば、生きながらえる人も居る!鬼殺隊の一員として、今生きる私もこうして羽子板遊びに興じているがぁ、明日はもしかしたら、鬼に狩られて死んどるかもしれん!!!だからして、私はひとつひとつ他愛もない遊びも手を抜かへんのやぁあああ!!」
「…だったら、こっちも手抜きは出来ねぇなぁあ!!!」


新年の羽子板遊びで馬鹿見たく白熱する二人の会話に、ほろりと泣き出す隊士達が多発した。
熱い、この戦い…ずっと観ていたい!!と。


が、その終わりは、直ぐに訪れる。
宇髄天元の意地の悪い一言により、


「あ、オメェ、それ以上劇しく動かねぇ方が良いんじゃね?」
「は?」
「晒しが緩んで、豊満な乳が揺れてる。」
「はぁあああ?!マジか!!!!」


凶悪過ぎて柱同等の力を奮う女は、
視線を己の胸元へと落とす。
が、
試合前と変わらぬ乳位置。
(ちちいちって、お前…by.音柱)
晒は緩んで無かった!

だからして、
今の音柱からの言葉は妄言!!
と、気付いた時には、羽子板の羽根は目の前に迫っており、負けた…!!と顔面に迫るそれに直撃だけは避けようと動く。
後ろへと倒れる身体、頬を掠めて過ぎる羽根を、負ける!とグッと悔しさで奥歯を噛み締めて…、
が、耳元でカツンと鳴る音と背を覆う暖かな体温に振り返る。
目の前に迫りくるようにあった顔に息を呑む。

こんな間近で見た事はない。
優しく弧を描く目と薄い唇。


「…油断大敵、だ。ほら、まだ負けていない!」


あ、
ああ、
アアアアア!!!?

眩し過ぎる!!!!と、
別の一件で平伏しそうになるわっ!!てなった。


「俺に撫でて貰うのではなかったのか?」


何てそらもう良い笑顔で言ってくるもんだから、もうもうもう、これ!!この色香!!ホンマ私よか年下かよ!?
と、思考がグルグルしだすのを感じたが我慢して、煉獄さんが作ってくれたこの好機!
逃すかい!と、
あちらも思いがけない反撃に手元が狂ったのか、カツン、羽子板の当たりどころが悪かった。緩く天へと上がった羽根へ追いすがる。
渾身の、力を、込めて…


「音柱、討ち取ったり!!」








ズドンっ、と羽根が庭の玉砂利に沈む。


「っ、勝った!!勝ったぁあ〜!!」
「うむ!勝ったな!!」
「煉獄さん!勝ちましたよ!!ナデナデしまくって下さい〜!!!」


やっとのこと着いた勝敗。
炎柱対音柱は、炎柱チームの勝ちである。
先程の壮絶な戦いを行っていた人物とは思えぬ位に、キラキラの笑顔を浮かべる(残念な美人)は、己の相棒である上司、煉獄杏寿郎の胸へと勝利の歓びのまま飛び込む。ナデナデ、ナデナデして下さいと、胸板に頭を擦り付ける様は幼子のようであるが、何せ見てくれは残念ではあるが美人である。
煉獄杏寿郎は、上目遣いで撫でて?と、戦いで蒸気した赤い頬を隠しもせず、首を傾げる名字の様は腰にくるものがあったと語る。ゾクリと、這うように痺れが流れたのだ。
ハッとして周りを見れば、一般隊士は名前を見て色めきたつものだから、そっと彼女に己の羽織を被せる。
これは俺の、補佐役だ!と睨みを効かせれば、しん…と口を噤む。
こんな可愛らしくも、、、色香がある彼女は俺だけが知ればいいのだから。


「煉獄さんからのナデナデ…幸せ。」 
「そんなに嬉しいものか?」
「そらもう!!」
「…これで充分か?先程、全身をと言っていたが…、それで本当に満足か?」
「ほえ?」
「君の希望は、全身をナデナデされたいとかと、聞き間違いだったか?」
「っ…。」


目の前の上司ではあるが、2歳年下の男は、上司の顔ではない、男の顔をしていて…じっと、こちらに向ける瞳の奥は…、熱を孕んでいた。


あ、
これ、
喰われる。

 
ゾクリと、腰から背中に掛けて走った震え。
ちよ、待て。
今の今まで煉獄さんは私の好意に無関心やったやんか!何で今?!私色仕掛けしてねーよ?新年早々羽子板大会で周りの皆に性癖バレてやらかしてた女だよ??
どうしよう!!と、人生のちょっと先輩(一つ年上)である嫁を3人持つ男へと視線を慌ただしく移せば、
ふいっと逸らされた、何故?!
あ、今負かされたからか!!
大人気なくな〜い?
私達親友やんか!ほら、自宅訪問の際には嫁さんの好きなもん持っていってるやん。
毎回う〜さんだけ手土産がなかったのを拗ねてんのか?
ごめんて、今度から何か用意するから〜、ね、ちょいと、これ、アカンやつやん。煉獄さんの眼、梟に似ててかわええとか思った私の馬鹿!猛禽類やん、梟って猛禽類やん。え?私はそれに喰われる雛鶉な訳??















亡き父上様、母上様。
新年早々、
わたくし色々やらかしたみたいです。
が、しかし!
後悔はしていない!
肉食系、そう見ての通り一目惚れしたこの年下上司肉食系でした。
そう、貴方たちが口酸っぱく言ってた我が家の家訓、目の前に美味しそうなモノがあったら、残さず喰い尽くせ…、忘れてませんが(いやだから、そんな家訓残しとらんからね、と父上の声が遠くで聞こえた。そしてそんな父上を宥める母上の声も聞こえてきた気がしたが、知らん!)、喰い尽くす前に、喰われそうです。

















大正コソコソ話。
煉獄さんの気持ちをここで知った主人公。
普段は押せ押せであるが、押されたら押されたでパニクる体質…である。

肉食系煉獄さん、
たまらぬな!!ってなってからの、え?その対象自分なん?てなってからのヒロインの変わり様に、周りの連中も、え?そこで押さんのかい!となると。

ちなみに何故雛鳥ではなく、雛鶉なのか。
私の中での煉獄さんの見た目のイメージが梟さんなんだよね〜。梟ちゃん達の餌に良く使われるのが鶉を小さく刻んだ餌を食うてるからですね〜。
可愛い顔して、あの子ら肉食なんです。もっさもっさと美味そうに食いよるからね。
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