甘露な日々

□初めてのデート編 file3
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なんやかんやあって、
トロピカルランドに到着した。
(山井さんが古見姉妹二人並ぶ姿に大興奮して失神したり、なじみが要らない茶々を入れては名無しさんお姉さんに吹き飛ばされたり)
コミュ症ではあるが、なかなかの行動力があるのは姉妹ともに似ていると分かった。姉の方は大分力強いが…。


で、トロピカルランドの入り口。

遠目でも分かるイケメン店員さんーーー。
何、あそこだけ空気清浄機でも置いてあんのかって位、キラキラしてるんですが???

そのイケメンが放つ空気にざわつく一般市民と後ろを付いてきていたクラスメイトである。


「い、イケメンだと?!」
「何か…ここまでいい匂いが、こ、これはブル●リのん〜たらこーたらの香水の匂いではっ?!」
「誰よ!暗殺しようとか言った奴!イケメンは国の宝でしょうが!!殺したらアカンやつや!誰でも分かるヤツやん!!」


コイツら(クラスメイト)、あっさりと手の平返しやがった!チョロすぎる!!
いや、気持ちは良く分かるけど。



「あ、おはようございます。晴れて良かったですね。」

「あ、あああぅ…、お、おっおはよおはおは、おはよぅござざざ。」

「はい、おはようございます。」


此方に気付いたイケメン事、安室さんはこれまた蕩けるような、それでいて爽やかな笑みを浮かべて手を振ってきてくれた。
その所作一つ一つが眩しすぎる!?
名無しさんお姉さんの不器用過ぎる挨拶にもそつなく返してくるのだから天晴れだ!


「なじみちゃんと只野君もおはようございます。」

「あ、はい。おはようございます。」

「ふふふ、その言い方からしてボク達はオマケの様だ…。」

「そんなことありませんよ?」

「どうだか?ま、取り敢えず…ヒャッホイイィ!!!!トロピカルランドだずぇ!!!!!とりま、絶叫マシーンは制覇する!」




(なじみ…、お前本当、自分に正直だよな。)
(馬鹿を言いなさんな只野君。絶叫マシーンでの吊り橋効果と言うヤツを知らんのかね?トドメにお化け屋敷で奴等を落とす!!)
(な、なじみ!ちゃんと考えてたんだな!!なじみ…いや、隊長!!)
(隊長?違うな、総指揮官と呼びな!!)



















安室透さん、
これがポアロで出会った店員の名前だ。
姿もだか所作も綺麗な男性。
私がコミュ症全開で挨拶しても、嫌な顔一つせずに笑顔で受け答えしてくれる数少ない人。まずそこに心臓を掴まれた。
些細な事だと思うかも知れないが、私にとってはそうではなくて。
こんなコミュニケーション能力の馬鹿低い私に話しかけてくれたのだ貴重だ!(妹同様、美しさのあまりに回りから話しかけられず、遠目で(;´Д`)ハァハァされてた身分とは露知らず、勘違いしているコミュ姉妹である)

恋する乙女は盲目になると、まるで小説の一文のようだ。過去に恋愛小説ものを読んで、は?盲目ってないない、とか言ってた過去の自分に言ってやりたい…!

彼の行動や言葉一つ一つに鷲掴みにされる心臓よ…!
どうか今日1日で良い、持ってくれ!!
明日死んでも本望だ!!

「可愛いらしいですね、ポンポンつきのニット帽。何かこう、掴みたくなります。」

と、なじみちゃんチョイスのニット帽のてっぺんのポンポンを突っいて、ふんわりと掴む安室さんに…、
内心、

うばばばば…!!?
可愛いのは貴方です!!

と、私(と、なじみちゃんのクラスメイト)が赤面しながら思っていると、


「あ、ほら、オープンしましたよ!行きましょう!」

と、次いで右手を取られてぎゅっと握られた。








…あはは、あばばばば!!

私、手を繋いでる!!!??
やだ!
いや、安室さんが嫌な訳ではなくて、
私史上最強に手汗かいてない?
顔面崩壊してない?







(流石、安室氏!!さりげなく手を繋ぎよった!あの流れからの手繋ぎとは…やりよる!!)
(なんか…映画の一場面のようだった。)




そして、そんな映画のような一場面に、
空気と化していたクラスメイトたち。

(((((甘〜い!!!!!)))))

と、叫ぶのが精一杯だったと言う。













ちなみに、クラスメイトは自腹でトロピカルランドに入場しました。


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