甘露な日々

□初めてのカフェ編
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コミュ症ヒロイン、
古見さんはコミュ症です。とのクロスオーバー。


家のヒロインは古見さん並みにコミュニケーション障害の持ち主です。
そして、古見家の長女として、外見は母似、コミュニケーションは父似のヒロインであります。





















初めてのカフェ編ーーーーー。

最近、あのコミュ症の妹(自分も相当だが)が友達を作った。で、美味しいと噂になっているカフェのハムサンドを食べに行くと、ソワソワしている訳で。
無言で、そんな妹を眺めていた所を、弟に指摘されて…、
何故か一緒に行くことになった(ブルブルブル)
震えが止まりません…!
カフェって、カフェってお洒落な人たちが行く所やん!!
と、なって。
外出用の服なんてない!となり、
何故か妹の友達であるなじみちゃんと只野くんとで外出用の服を買いに行く事になった。ちなみに妹も同行する。


「ふっ…、ふっ、ふふふふふ、服。」


あ、緊張しすぎて震える。


「大丈夫だよ〜!コミュ姉!僕にまっかせてよ!美人をもっと美人にしてあげる!そらもう、皆が皆…見たとたんに股間濡らす位のヤツをねっ☆」

「ブルブルブルブル…!?(コミュ姉ってなに?)」

「なじみ、普通のヤツにしろ。」













で、来たのが、かの有名なイ●ンさん。
大型ショッピングセンターである。
人が多い…!と妹に抱き付き一緒になって震える。


「コミュ姉は…綺麗系だから、危険な大人女子を目指すよ!きっとライダースとか似合うと思う!イメージ的にはミラー・ジョヴォヴィッチだよね!危険な香りがするアクティブな女!」

「ああ〜、似合いそう。身長も高いし、モデルさんみたいだから、ああいう戦う女!的な服似合いそう。」


なんと!
ミラーさんとな!?
ハードル高くない?と抱き合う妹に意見を聞こうと視線を落とすと…、
ふんすっ…!
何故か気合いを入れる我が妹の姿が見えた。
お姉さん、このこ達に任せて大丈夫なんだろか?
更にブルブルブルブルと身体を震わすのだ。
















「ほら、やっぱりライダースは外せないよね〜!」

「ダメージのスキニージーンズも似合ってますよ。」

「ふんすっ!(ピンヒールのブーティも素敵)」





あれ?
私、カフェに行くだけだったよね?
ミラーは戦う女。
そんな成りでカフェに行くの??














で、カフェ初体験の日、
皆に選んでもらった服に袖を通して、
何度も鏡の前で確認する。
白のパーカーに黒のライダース、ダメージの入ったスキニージーンズ、黒のピンヒール。
母に手伝って貰ってメイクもした。薄くパウダーをのせて、アイカラーは茶色、口唇にはやや濃いめの紅をのせる。
妹とは違って母と同じくらいの短い髪を整えて…、改めて鏡をみて、恥ずかしくなって縮こまる。

見たこともない、大人な女が鏡に写って…思わず鏡に向かってお辞儀をした瞬間を弟に見られてしまったのは、ここだけの秘密だ。















妹と妹の友達の後ろを歩く。
たまに慣れないピンヒールに躓きながら、やっと、たどり着いた…!

カフェ…!
お店の名前は、ポアロ。
…ポアロって好きな小説の登場人物と同じだなぁとなりながら、なじみちゃんの遠慮ないお店の扉を開く音にびくりと肩を震わす。


(古見さんとお姉さん…まったく同じ反応するんだなぁ。ビックリすると猫耳生える。)












おどおどしながら、店内に入れば、珈琲の良いにおいがした。
どこかほっとする香りに肩の力が抜けた。
が、


「いらっしゃいませ、四名様ですか?」

の声にビャッと、声を漏らしてしまう。


「えっ、あ、スミマセン。驚かせてしまいましたか?」



声がした方がへと視線だけを向ければ……、

はぅ!!?

テレビでしか、いやテレビでも観れない位のイケメンがおった…!
何これ!カフェって、カフェって、こんなんなの?


「うわ〜!めちゃくそイケメン!!何これ!私なじみって言います!くっそイケメン!なに食べてたらそんなんなるの〜。」

「スゲーなお前のそのコミュ力。あ、大丈夫ですか古見さんとお姉さん。」

「「…………んっぶ!?」」














「とりあえず、ここはお店のオススメを頼もうやないか。ねっ、コミュ姉妹!とついでの只野君!」

「はいはい。古見さんとお姉さんもそれで良いですか?」

姉妹揃って激しく首を上下する。
それを見て苦笑いする只野君にごめんね、と思いながら、然程、こちらのおかしな動きに笑うでもなく避難するでもなく、優しい笑顔で接客する男の人へと視線を移す。

格好いい…、正にその一言。

褐色の肌に、金髪。
睫毛も金だ…!
と、なると、この髪の色は地毛なのか。
羨ましいなぁ。
綺麗な金色だ。
眼の色も…灰色っぽい青だ。

メニューを聞きながらメモをとる青年の姿に釘付けになる。
ふっとした瞬間に伏せる瞼、芸術だ!
伝票にスラスラと走らせる文字、芸術だ!
注文を繰り返す、甘い声!芸術だ!!
去り際にお待ち下さいとか、ご褒美だ!
ハムサンドを作る姿、芸術だ!


こんな、美しい人間、初めて見た!



(古見さん家は、顔面偏差値馬鹿高いが、各々自覚はないに等しい)











頼んだメニューはオススメのハムサンドと、カフェオレ。

妹と同じく恐る恐るハムサンドに手を伸ばして口に入れる。


「「…美味しい。」」



すっごい、美味しい…!
何これ!
パンもしっとりモチモチ、
レタスもシャキシャキ、
そしてこのマヨネーズにも、


「…お味噌。」

「え?」

「あっ。(ブルブルブルブル!)」

「いえ。スミマセン。まさか、隠し味に、初見で気付いた人はいなかったもので。」

「そうなんだ!すっごいじゃん、コミュ姉!!」

「っ(っぶるブルブルブルブル!?)」

「あ、ごめんねイケメンのお兄さん、この人美人なんだけどコミュ症でさぁ!」

「「「(ストレート!!)」」」

「そうなんですね。でも、言葉はなくても、美味しそうにハムサンドを食べてくれてくるなぁって、表情で分かりました。ありがとうございます。」

「「「(うわぁ!この人のコミュ力も相当だ!!)」」」

「あ、マヨネーズがついてますよ?」


ほら、ここと自分の右の口唇を指すイケメンさん。に、え?となりつつ、慌てて自分の左側の口角を押さえる。


「ふふ、

違います。こっちですよ。」

と、男の指が押さえた反対側の右側の口角を滑る。


「ほら、取れた。」


と、青年に触れられた口唇。そこから熱が生まれる。


「「おお!?」」


あ、ァアァアアア?!
ブルブルブルブル、震える身体。
イケメンさんに、私何て失態!
恥ずかしくて死ねる!!!



「あ、コミュ姉死んだ。」

「まさか!いや、確かにいまのあれは確かに僕でも…いやいや、生きて下さい!!」

「イケメンお兄さん…責任、とってくれる?家の可愛いコミュ姉が気を失ったんやけど?」

「え?」

「え?(なじみぃ!その手口最早ヤクザのそれ!)」

「家の姐さん、こないにして…!ちゃんと責任とりよし!!」

「(え?ヤクザ映画?)ちょ、なじみ、それはいくらなんでも!」

「しょうこ姐さんも、そう思うやろ?身内汚されて黙っとるんかい!」

「(ブルブルブル!)」

「ほら、姐さんも頷いとる…。」

「(いや、あれは今の状況についていけなくて震えてるだけ!)」

「あ、あの…すみません。僕、どうしたら良いですか?」

「そんなん、コミュ姉さんの口唇の初めて奪ったんや!トロピカルランドでもてなしな!勿論!僕らも!!」

「いやいや、口唇の初めてってお前…!すみません!店員さん!こんな馬鹿の言うこと間に受けないで下さい!」

「トロピカルランド、ですか。いいですよ?それでお詫びが出来るのなら。」


「「へっ?」」





















どうやら、今度はトロピカルランドでイケメンさんと遊ぶと言う、何ともハードルの高い難題にぶち当たった…!


(なじみ、あれ本当に良いのかよ!)

(むふふのふん!コミュ姉のイケメンお兄さんを見る眼を見たかい只野君。キラッキラしてたで〜。あら、恋する乙女の眼やで!!だから僕たちが一肌脱ごうやないか!!)

(僕たちって、俺を巻き込むなよ!)


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