01/15の日記
17:22
死神四重唱 04
---------------
「…………え?」
怒りも悲しみもすとんと落ちた表情で少女は深里を見上げた。
深里はおどけるように肩をすくめる。
「言わなくても気付いてくれるとか思ってた?気付かねぇよ、普通。他人への関心なんてそんなもんだ。助けて欲しけりゃ言え。叫べ。そうじゃなきゃ誰も助けてなんかくれないぜ」
「深里言い方キツいよー」
もう、と言いながら彩香はカーペットの上に座り込む。
そしてへらりと笑ってみせた。
「でも、言い方キツいけど、ホントなんだよ。助けて欲しいかなんて分からないもん」
「貴女は喋れる口があって声が出るはずでしょう?なら使えばいいのよ」
助けて欲しいなら言えばいい。
言わなくても気付いて、なんて、そううまくはいかないのだから。
気付けるひとと気付けないひとがいる。
そして後者が圧倒的に多いのだ。
だから、と彩香が言う。
「だからね、聞いていいかな?あなたは“助けて欲しい?”」
「いらないようなら言う必要はないわ」
4人の瞳がじっと少女を見つめる。
少女は俯いたまま、震える唇を動かした。
「私…………」
ぽつり、膝に落ちる雫。
「助けて、欲しい」
次の瞬間、瑠が少女をぎゅっと抱き締めた。
ぽろぽろと少女の頬を涙が伝う。
「わたし……私っ、死にたくなんか、ない……でも、自分じゃ、なにも出来なくて、誰か助けてって、思って……っ」
「うん、そっか」
瑠が優しく頭を撫でながら、泣き続ける少女を撫でる。
梓里と彩香も微笑み、深里はまた肩をすくめて目を閉じた。
「助けてって言うのは悪いことじゃないんだよ?自分じゃどうしようもないときならね」
「けれど、他力本願はいいことじゃないわ。前までの貴女みたいに、気付いてって願うようなのはね」
「もう、ふたりしてそういうことばっか言わないでよ」
泣きじゃくる少女を撫でながら、瑠は軽くふたりを睨む。
彩香と梓里は肩をすくめて、それから笑い合うと少女を囲んだ。
手を伸ばして少女を撫でる。
いつの間にか、キッチンからは牛乳の甘い匂いが漂ってきていた。
前へ
□ 日記を書き直す
□ この日記を削除
[戻る]