01/09の日記
13:22
死神四重唱 03
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ぎゅう、とマグカップを握り、少女はさっきまでとは違う意味で俯く。
「あんまり……優しく、しないでください……わたし、」
「ごめんそれ無理」
私死のうとしてたんです、死にたいんですと続くはずの言葉を、深里が切った。
顔をあげれば、腕を組んで仁王立ちをした深里と目が合う。
「俺、女の子には優しくがモットーなの。だから優しくしないのは無理」
胸を張って言った深里の表情は誇らしげですらあった。
それを見た彩香が、そうそう、とそれに同意を示す。
「それにねー、あたしら死神だけど、死んでるっつったっしょ?まあ死んだ理由はいろいろだけどさ、すくなくとも多少の後悔とか心残りはあるわけですよ」
「そんな僕らとしては、死にたいって嘘の願いは叶えられないんだ」
「嘘なんかじゃ……!」
「嘘よ」
きっぱりと言い切ったの梓里だった。
しゃがんだ姿勢のまま、真っ直ぐに少女を見つめる。
「あなたは、死にたいと思うようにしてるだけ。死ななきゃいけないって自己暗示をしてるだけよ」
「私のこと知ってるみたいに言わないでください!」
突如感情的になった少女が叫ぶ。
「みんな私のこと邪魔だって目で見て、私がいないみたいに扱って、私のことなんて無視して私苦しいのに辛いのにお母さんもお父さんも誰も気付いてくれないし助けてもくれないなら死んだほうがいいって思うじゃない!」
「そりゃ誰も助けねぇよ」
女の子に優しく、がモットーの深里が、少女の叫びに冷徹に応える。
少女を優しく見ていたはずの瞳は、無感情なものに変わっていた。
少女は深里の言葉に目を見開いて、それから睨みながら目を潤ませる。
少女が糾弾するより早く、
「だってきみ、助けてって言ってないだろ」
とん、と壁に寄りかかりながら、そう言った。
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