歪んだ扉
□夜の学校
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「どうしよう…」
震えた声で呟く。
怖いは怖いけど、まだ皆といた時は恐怖が和らいでいた。それなのに、今は夜の学校にぽつんと1人きり。
夜の学校を探索してみよう。いつも一緒にいる2人が乗り気になってしまい、半ば強引に私も連れてこられた。
初めは「怖いね」「何か雰囲気あるよね」なんて言っていたくせに。
途中から誰もいない学校というのが楽しくなってきたのか、2人は廊下をはしゃぎ回る。
上機嫌で廊下の角を曲がっていた所まではしっかり見ていたのに、いざ曲がるとそこには誰もいなかった。
そこは渡り廊下であるのは窓だけ。隠れるような教室もなく、キツネにつままれたような気分だった。
「梓ー、遥ー、どこ〜⁉」
大声で呼ぶも返事がない。不気味な現象にぞくりと鳥肌が立つ。
その場で1人立ち尽くすのも怖く、私は恐る恐る先に進む。
「…あれ、今何か声がしたような」
遠くで、かすかに女の子の声がする。猛ダッシュで駆けてくには距離があるけど、淡い期待を込めて先に進む。
「2人とも、いい加減隠れるのは止めて出てきて」
黙っているのも怖くて、とにかく話しかける。しかし、話し声はするのに私の声には応えない。
(テンション上がりすぎて聞こえて無いのかな)
あの2人はそういうところがある。
どうやってこの距離を移動したのか分からないけど、とにかく声のするの方へ移動し続ける。