禁断の林檎

□不思議な貴婦人
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「どうなってるの…?」

 眼前に広がるのは、赤紫の葉をもつ木が生い茂る森。
 私は今しがた起きた出来事に驚きつつ、目の前の異様で不思議な光景を見つめる。


 この国に訪れて3ヵ月。いろんな場所に案内して貰い、少しずつ異国での暮らしに慣れてきた。
 皆さん親切で、遠い昔に戦があったなんて嘘のよう。

 太古の自然の中でも生きる彼らは、自然そのもののゆったりと構えているところがある。
 翼や、獣の耳にしっぽがある以外は私達人間と何も変わらない。


 そんな中で、誰もが絶対に入ってはいけないと警告したのが、通称『女神の森』。
 その場所は古くから強い力を持つ女神様がいるだけでなく、規律に縛られたくないという、ならず者達が集い暮らしているのだとか。

 けれど、訪れる種族の場所はリストアップされているから、記されていない場所に訪れる必要もない。
 特使としてやるべき仕事も沢山あり、この3ヶ月は頭の片隅に追いやられ、思い出すこともなかった。
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