短編集

□別れ…旅立ち
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「イヤぁー 私もわたしも一緒に…」

「其方には大切な大事な役目がある」

セレーネは、その場に泣き崩れガクガク震えていた。

「玄室迄お供いたします」

「姫を頼む、姫だけが先の世界でただ1人の救済者になろう…しかと頼んだ」

「セレーネ、暫しの別れです。お行きなさい先の国へ。人々を頼みましたよ」

「お母上様ーイヤ、一緒に居たい」

「無理を申すでない、セレーネ」

セレーネはとうに流す涙は枯れ憔悴しきっているが、王女としてやらなければならないと言う使命だけは捨て切れずその思いだけで玄室に向かい歩み始めた。

『今は何も考えない…考えなくない。いきなり他民族からの攻撃など』

「玄室です」

セレーネの持つ波長に呼応するかの様に扉が開いた
王国参謀総長であるサボに抱き抱えられ奥の奥…更に深い奥の間に寝台が1つ置かれていた。
彼はセレーネをその寝台に寝かせた。

「セレーネ…いや、セラ」

「サボ…」セレーネの瞳から涙が溢れてきた。

2人の唇が重なった、長い時間時が止まり永遠にも思えた。

セレーネは、徐々に身体が冷たくなり深い眠りに入り仮死状態に入ろうとしていた。
その薄れ行く意識ある中
「ありがとうサボ。大好き愛し…て…る…」

「セレーネ、愛している。玄室は必ず死守するから安心して眠れセレーネ」
再びセレーネの唇に彼は自分の唇を重ねた、彼の瞳から涙が溢れセレーネの頬に落ちた。
そして羽織っていた上着を脱ぎセレーネに掛けた。



彼が寝台から2、3歩下がると寝台は仮死のセレーネをクリスタルで覆った。

「おやすみ、セレーネ…セラ」





「姫は旅立ったか?」

「はい」

「では、我らも行くとしようか」

「お供させて頂きます。」




こうして、巨大な王国の一族は天竜人に殺され滅亡した。


※セレーネの遥か過去の記憶


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