風の歌姫(大地の汽笛)

□プロローグ
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 神の搭……最上階にて、遂に風の歌姫が目を覚ました。彼女の目の前にはシャリンがいた。マラドーの力が弱くなったのを確認出来たシャリンは、リュアの封印を解いたのだった。










「リュア……そろそろ目を覚ますのじゃ。目覚める時は来たんじゃよ」


 私はシャリンの声が聞こえて、目を開けた。目の前にシャリンがいて、微笑んでいる。

 どうしてここにいるか? それは、魔王……マラドーが襲来して来たからだ。テトラとリンクも戦っていたけど、一方的に攻められていた。

 だから私は、シャリンに頼んで共に封印したんだ。それで、シャリンに封印を解いてもらって現在に至る訳だ。


「シャ、シャリン……?」


 座り込んだまま私はシャリンを見上げた状態で声を出す。


「久しぶりじゃなリュア。……と言っても、お前には一瞬で戻って来たと感じるじゃろう。でもオマエが封印されて100年になる。今は混乱しておるじゃろう? 今日はゆっくりしてみたらどうだ?」


 私は言葉に甘え頷き、1日中自由に過ごす。それから1週間が経った。






















 なんか変な感じがする。マラドーがいないこの平和な大地にあるはずの線路が無くなったりしている。

 どうしてだろう?

 すべてはここ……神の搭に繋がっているけど、全部の線路と繋がっていない。不思議に思っていると、シャリンが私に話しかけてきた。


「リュア……ハイラル城とか行ってみたらどうじゃ?」

「シャリン、いいの!?」


 私はシャリンを見つめて、目を輝かせる。懐かしのハイラルにとても行きたかった。


「もちろんじゃ!」

「ありがとう!!」


 ハイラル城に行くのか……ワクワクするなぁ〜! 私達の子孫達はいるのかな? 貴方は私がいる間は剣士をやってたし。


「リュア……そのまま行っても、王女様に会えない。城の前で倒れれば、王女様が見つけて来るはずじゃ」


 ん? 私は不思議に思い、目の前にいるシャリンに聞き返す。


「この時間帯に?」


 流石に王女様だから脱出って事はないとおもうんだけど……。


「実はいつも脱出しているんじゃ。怪しまれず、王女様のメイドにもなれるかもしれんのじゃよ?」


 私は驚きを隠して聞く。それで、シャリンがやりたいことが分かった。


「遠回しに姫様を守れってこと?」

「そうじゃ! よろしく頼むぞ」











 これは……リンクの任命式の始まる1ヶ月前のことだった。








 シャリンに姫様を守れ……といわれた翌日、私は準備を済ませてこの神の塔から出ようとしていた。


「シャリン、いってきま〜す」

「城前で倒れるんじゃよ」


 実際はダメだけど姫様を守るためなら。現在、徒歩でハイラル城を目指しているけど……。

 とても疲れているヤバいな……体がなまっちゃっている? これじゃ、マジで城前で倒れるんだけど。


 そんな事を考えているうちに、ハイラル町が見えて来る。希望を持った私だが、ハイラル町まで歩いてきたが力尽きてしまっていた。

 私の体力はなくなってしまい、その場に倒れてしまう。亡き風の勇者の嫁である風の歌姫がこんな所で倒れてしまうとは……。


 気を失いそうになった私に最後に聞こえてきたのは、「そこの貴女! 大丈夫ですか!?」だった。確か……この声は……
























 テトラ?














 今日も退屈なお城から脱出してきました。「なんか面白いことないかしら?」と思いながらいつものように、城下町を歩いています。そう思っていたら……女性が倒れていました。


「そこの貴女! 大丈夫ですか!?」


 私はその子に近づいて様子を確認すると、まだ倒れただけで生きている。見つけたのが私でよかったですわね。仕方ないですが女性を連れて城に戻りましょうか!

 ですが、この顔……どこかで見たことある気がしますわ。この顔は確かあの本で……。













 ここはどこだろう? 倒れる前テトラの声が聞こえたと思ったけど……。


「あら! 目が覚めましたか?」


 私が寝ているベットの隣には、ここ……ハイラルの姫君……ゼルダがいた。
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