風の歌姫(風のタクト)

□魔獣島へ
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「オーイ! リンク! こっち、こっちだよ!」


 魔獣島に着いた頃には、辺りは暗くなり、もう夜になっていた。


「うおおスゲェ!! あれが魔獣島か! っいて!?」


 テンションが上がっていた僕にテトラが思いっきり頭を叩いた。


「うるさいよ!」

「ご……ごめん」


 僕は叩かれたところを抑えながらテトラの話を聞く。


「あれじゃあ上陸する前に見つかっちゃうね……。ウ〜ン……どうしたらいいかな〜! あ、そうだ!」






















「………ハァ!? フンゴ! ンン〜!」


 リンクは樽の中に入って顔だけ出していた。なんというか……シュールだな!


「大丈夫だよ! 私達もいつもやっていることだし……」

「やってんの!?」


 こんな危ないこと、いつも誰が犠牲になっているんだ?
 海賊船の室内にて……。


「クシュッ! 風邪かな……? もしかして、きっと誰かがオイラの事を……!」


 間違ってはいないが、勘違いしている下っ端のニコがいた。






「みんな! 準備はいいかい?」

「ちょっと!? リュアは行かないの!?」

 樽の中にいるリンクが聞いてきた。僕もついて行く予定だ。でも、それにはちょっとした準備が必要だった。


「僕もついて行くけど、男装してからだね」


 そう言った僕を見たリンクは「あ、あとで合流かよっ!?」と驚いている。


「しくじっちゃならないからハデに飛ばすんだよ!!」


 テトラがそういうと、リンクを飛ばすカウントダウンが始まった。


「3!」

「えぇ!?」

「2!」

「俺なら行ける……」

「1!」

「俺なら行ける!」


 ゼロの掛け声と同時にリンクは吹っ飛んでいった。


「いってらっしゃーい!」


 僕は挨拶をした。テトラと共に部屋に入り、服を借りた。髪型を変えて男っぽく見せる。


「準備はこれでいいね。この石でリンクの様子を確認しようじゃないか」


 そう言われて、水色の石を渡されて、リンクの様子を見た。






















「うわああああああああ!」


 壁に当たった後、そこから落ちて海の中に落ちた。俺は近くの陸に上がり、まだ身だしなみを整える。


「落ちたところが水のところでよかったぁーって、アレ、剣がない!? ……うわぁ!?」


 嘘だろ……剣がなくなるし、変な石がポッケに入っている……。


『あちゃ〜! 剣があんなところに……ゴメン、ゴメン当たりどころがわるかったね!』


 いきなり声が聞こえてびっくりした。ポケットから水色の綺麗な石を取り出した。


『フフフ、ずいぶん驚いた顔してるね。さっき、こっそりアンタに持たせたその石は、ただの石じゃないんだ』


 テトラからそう言われて驚いた。困ったときは、テトラに聞けば何とかなるのか?


『その石を通して、私にはアンタのやっていることがお見通しなのさ。こうやって、声を伝えられるから!』


 この石凄いな……。そう思っていると、テトラの声が聞こえた。


『でも、妹を助けたら返してもらうから無くすんじゃないよ! ついでにリュアも持っているからね!』


 地味に大事な事を言ったよこの人。これでいつでもリュアと会話が出来る!!
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