風の歌姫(夢幻の砂時計)
□大砲が欲しい!!
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早速、家の中に入ると赤っぽいオレンジの髪をした男の人がいた。
「す、すいませ〜ん?」
その男にリンクが声をかけるとこちらに振り返る。
「いらっしゃい! ここは船のジャンク屋……エド師匠のお店だよ。ボクの名前はフジ。エド師匠の弟子さ」
赤っぽいオレンジの髪の男……フジに私はそれぞれ自己紹介をする。
「私はリュア。そして、リンクとシエラだよ」
「君の名前がリュアちゃん、リンク君か! よろしくね!」
「なぁ、フジ!! 船に大砲をつけて欲しんだけど……」
リンクがここに来た本題をフジに伝えていた。
「え? 大砲が欲しいの? 悪いけど、まだ売れる大砲がないんだ」
あれ……? ラインバックから聞いた話しとは少し違うような……?
「……ど、どうして?」
「うちの師匠が、新しい大砲を作るのに全部奥の部屋に持って行っちゃったんだよ。集中するからって作ってる間はドアに鍵をかけて出てこないし……」
新しい大砲なんて別にいいじゃん。使えることさえ出来れば、他の役に立つところなんてないのにさ!
「どうしても、大砲が欲しいなら師匠のところまで行って直接頼んで見てよ。ちょっと危ないけれど、島をグルっと周れば裏口にまわれるからさ! 裏口には、鍵もかかってないだろうから師匠に会えると思うよ」
何でわざわざ裏口に行くためにこんなにも遠くにあるんだろう? ま、ダンジョンよりは簡単だから別にいいんだけどね。
「島の奥に行ける扉は僕が開けてあげる。ついて来なよ」
私達は、フジについていって扉の鍵を開けてもらう。
「ありがとう。フジ」
「どういたしまして! それと、ここから先は魔物も出てくるから、きをつけてね」
私達はエドがいる部屋の裏口を目指して扉を潜る。つーか、大砲だけでこんな大変な事をしなくちゃいけないんだよ……。
「……大砲をゲットするのは明日にしよう。もう外も暗いしこのまま起きてたら、明日……倒れてしまうかもよ」
「え……あ、分かった」
リンクには悪いけど、明日にまわした。そのうえ、もう外は暗くなっていたのだ。
夜は静かで誰でも寝る時間なのに、大砲の音で起こしてしまったら、迷惑になる。
「それじゃ、リンク。戻ろう!」
私はリンクの手を掴んでラインバックの船に戻る。すると、ラインバックがこちらを見ていた。
「どうしたんだ?」
「リュアがもう外は暗いから明日にしよう……だって」
リンクはさっき私が言ったことをラインバックに伝えると頷いていた。
「確かに……オールナイトしてしまったら、明日ずっと寝てしまう可能性があるしな……よし! 今日はもう寝よう!」
私はあくびをしてから体を見た。案の定、汗でべたべたしている。
「……うえ……体中汗でベトベトだよぉ……ねぇラインバック? シャワー室ってないの?」
「あるにはあるが……服はどうするんだ?」
「めっちゃ大きいサイズで!」
り、リンクゥ!? お前には聞いてないよね!? なんで、貴方が答えるんですか?
「……リンクはほって置いて、俺の服はお前らから見て、とてもでかく感じると思うが大丈夫か?」
私はラインバックの話しを聞いて頷いた。すると、リンクと共に行動していたシエラが、私の周りを飛んだ。
「それなら私はシャワー室で待機しているわ。怪しい人がいるからね!」
飛んでいるシエラがある人を見て言うと、その人は案の定驚いていた。
「お、俺ぇ!?」
それは、私の彼氏であるリンクだ。気づいていなかったリンクに向かってラインバックが指さす。
「お前以外誰がいるんだよ!」
ラインバックがそう言うと、リンクは真顔でラインバックを指さす。
「お前」
「ふざけるんじゃねぇ!」
リンクにキレそうなラインバックの服を掴んでとめる。そんな2人に呆れながらも、私は口を開いた。
「ねぇ、ケンカするなら先に服を渡してよ」
「そ……そうだな」
ラインバックはタンスから私より少し大きめの服を出して渡してくれた。
「ありがと」
私とシエラはラインバックの船にあるシャワー室に向かった。