風の歌姫(風のタクト)

□魔獣島へ
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 長剣と短剣を持っている僕からしてみたら、ここにいる魔物を倒せると思うけど、力不足と数の多さで絶対に負けてしまうだろう。

 油断禁物。僕はボコブリンに見つからないか心臓がバクバク言っている。


 魔物に化けることができれば、魔獣島の探索も簡単になったのに。人間に似ている魔物もいるけど。多分。

 僕は廊下に移動してサーチライトを見つめる。ここにサーチライトは2つある。リンクと別行動をせずに一緒に行動していたほうがよかったのでは?


 ま、わがままを言わずに行動をしなければ。僕は梯子を上ってサーチライトに集中しているボコブリンに短剣を投げて攻撃する。

 ボコブリンは短剣の威力で、サーチライトから離れて倒れる。僕は長剣を構えて倒れているボコブリンに向かって振り下ろす。


 ボコブリンが消えたのを確認して僕はサーチライトを操作して向きを変えた。


「あと1つか……。頑張るか」


 僕は梯子を使って降りる。そして次のサーチライトのある場所まで急ぎつつ、体力が減らないように移動した。

 2つ目のサーチライトの場所に着く。今度はボコブリンの背後に周り込み、指笛を吹く。

 指笛の音を聞いたボコブリンが、こちらに視線を向けて、サーチライトを上に向けた。


「さあ、かかって来いよ……」


 僕はボコブリンを挑発し、遠くに逃げる。これは、背負っている長剣で倒すのではなく、遠くから短剣で弱点を狙うということだ。

 その作戦に気づかないボコブリン。まんまと僕の罠に引っかかってくれる。そして僕はスカートの中から、短剣を取り出してボコブリンに投げる。


「ギャッ!!」


 見事ボコブリンの心臓辺りに短剣が刺さる。ボコブリンはその場に倒れて消えてしまった。

 僕はボコブリンに刺さっていた短剣を取ってスカートの中にしまう。


「よし、後はリンクと合流してアリルを助けに行くだけ!」


 そう呟いて僕は魔獣島の頂上に続く階段がある場所に急いで向かった。合流場所である部屋まで歩くと、反対側の扉に僕と逆走したリンクの姿が見えた。

 僕はリンクに手を振ると、リンクも僕の存在に気づいて手を振ってくれた。そしてリンクは先程と同じように樽を被って階段を目指していた。


 そんな彼の苦労をぶっ壊すように僕は、持っていた長剣と短剣でモリブリンに攻撃をする。

 僕の姿を見たモリブリンは持っていたランプをこちらに投げて捕まえようとする。

 流石の騒ぎに驚いたのか、リンクは樽から顔を出した。そんな彼を無視して、ジャンプ斬りでモリブリンに攻撃をする。モリブリンは薙刀を手から離し飛ばされた。


「リンク、ほらお前の今の武器はこれだから、さっさと戦うのに協力しろよ」


 僕は足でモリブリンの薙刀を指す。リンクは頷いて薙刀を取りに来る。彼が薙刀を拾っている間に、僕はもう一体のモリブリンにも攻撃を仕掛けようとする。

 だが、モリブリンが振り回した薙刀が僕に当たり、壁に思いっきり当たり、反動で手から長剣を放してしまう。

 とても痛いが、ここで辞めてしまったら、また1からやり直しになってしまう。


 痛みを振り切って僕は、床に落ちた長剣を手にする。僕に攻撃しようとするモリブリンに、リンクが薙刀を投げて防ぐ。


「リンク、ありがとう……。コイツらは無視して先を急ごう」

「ああ……そうだな!」


 リンクは僕の手を取り、階段を上る。そして扉を開いて外に出た。


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