風の歌姫(夢幻の砂時計)

□火の島
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 ブレイズは砂となり、天井に消える。すると、今度は床の真ん中に異変が起きた。ディンのマークが浮かび上がり、そこから紫の何かが出てくる。

 その紫の何かは高く上がった後、光り輝き赤く光った。その正体は……シエラと同じ妖精だ。


「私は大精霊海王に仕える力の精霊リーフ。魔物を倒してくれてありがとう! おかげで封印が解け闇から解放されました」

「見てリンク! すっごく綺麗! 力の精霊だって! フォーチュンが言っていた『もとめる道を切り開く力』ってきっとリーフのことだったのよ」


 私は力の精霊……リーフを見て頼み事をする。


「お願い! リーフの力を貸してほしい!」

「数年前、この海をおさめる海王様と共に、私は突然……深い闇に襲われ封印されてしまいました。今は海王様の気配も感じない……。いったいどうなってしまったのか、あなたたちと旅すれば、海王様の事がわかるかも知れないし……。わたしで良ければ力を貸しましょう」


 リーフは私達の周りを飛ぶ。戻ってフォーチュンに報告しに行こう! 青い光りに入ると炎の神殿から出ることが出来た。


「見て! リンク! 火山の噴火がおさまっているわ。きっと、2人が魔物をやっつけたおかげね!」

「そ、そうかな……?」

「んじゃ、フォーチュンに報告しに行くぞ!」


 私達はフォーチュンがいる家まで走って行った。私は立ち止まった。いきなり立ち止まった私に驚いてリンクは私を見る。


「……? どうしたアヤ?」

「先にフォーチュンの所に行ってくれないかな?」


 私がリンクにそう言うと不思議そうな顔をしてから頷いた。


「……分かった。ちゃんと来いよ?」


 リンク達は先にフォーチュンの所に走っていった。私は周りに誰もいない事を確認する。私は目を閉じてリラックスした。

 すると、私の影からダークが出てきた。ダークは体を動かすために目を瞑って大きく腕を伸ばす。


「くーッ! 外に出るのは久しぶりだな!」

「ダ、ダーク……」


 リンクと顔が同じダークにまで照れ始めてしまうとは……。私も相当ヤバイな……。ダークを見ていると、顔を真っ赤にさせて照れ始める。


「そ、そんなジロジロ見るんじゃねぇよ。こっちが緊張してしまうだろ?」

「……冗談言わないで。私がリンクの事をどれだけ好きなのか分かるでしょ?」


 こいつは私の影として生きているために、今までの会話や行動を見ている。


「冗談に決まってるだろ?」

「……お前は常に嘘つきそうだからそんな事言われても信頼できないよ」

「そ、それは流石にひでぇな!」


 そういったダークを無視してフォーチュンの所に行こうとした私だが、ダークに止められた。ダークは私の手を掴まれている。

 彼に触れられている所は、水のように冷たい。暫く、沈黙が続いたがダークが私を引き寄せた為、目の前にダークの顔があった。


「……ど、どうしたのダー……ク?」


 目の前にあるダークの顔が少し悲しそうな顔をしてから、真剣な顔に変わる。


「俺はリュアの事が好きだ。この気持ちはリンクには負けねぇからな!」


 ダークがそう宣言すると、私から離れて私の影に戻る。


「……私がどれくらいリンクの事が好きなの分かっているくせに……」


 どうしてダークは私の気持ちを知っていてこのような事を言ってきたのだろうか?


「私の心を揺らすような事をもう言わないで……」


 私はその場にうずくまり、両手で顔を隠しながら泣きそうになっていた。こんな事で挫けてはダメ。

 ダークに気を取られてしまってはリンクの事を忘れてしまう。

 そんな事を言われてしまっては……。


「コッチも悲しくなるんだよ……」


 ダメなのに……顔が同じだからって……もし……あの時、助けてなかったらどうなっていたんだろう。

 この運命は変える事が出来たのかな?
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