風の歌姫(夢幻の砂時計)

□火の島
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「トビラを開けてくれてありがとう。やっと外に出られましたわ。魔物を倒してしまうとは……ただ者ではないとお見受けしました。貴女の名前をうかがってもよろしいかしら?」

「私はリュア……こっちがリンク。そして妖精のシエラ」


 私の名前を聞いたフォーチュンが目を瞑る。


「リュア……優しさと強さを兼ね備えたとてもいい名前です」

「あ、ありがとうございます!」


 そんなこと言われたことがなかったので嬉しくなって照れる。私はフォーチュンに礼をすると、リンクが話を戻す。


「実は幽霊船の事なんだ……。リュアの親友であり俺の友達が幽霊船にさらわれたんだ。だから、フォーチュンの占いで幽霊船について何か分からないかと思って……」


 リンクがそういうとフォーチュンはびっくりしていた。彼女に何が起こったんだろう?


「そうだったのですか……実は先日この島にも幽霊船が突然現れました」


 えぇ!? 私達と出会う前にフォーチュンに遭遇していたの!?


「そして、わたくしはその魔の手から逃れるため、ここに匿われていたのです」


 そういうと、フォーチュンが周りを見回していた。


「……そういえば、カシヅクが見当たらないけどどうしたのかしら?」


 フォーチュンが言うと、リンクとシエラは気まずそうな顔をしている。


「フォーチュン……あの、その、カシヅクはね……」


 フォーチュンは悟ったように言葉を重ねて言う。


「……そうですか。そんな気はしていました……。全てはわたくしの占い通り……しかしそれもわたくしの宿命……。悲しんでばかりはいられません。きっとカシヅクもそう望んでいることでしょう……。助けていただいたお礼になんでも占って差し上げますわ」

「お願いします!!」


 うおっ!? リンクがめっちゃ元気になった!? も、もしかして……ち、違うよね……?


「それでは、上の部屋で待っていてください。お連れの方がいらっしゃるなら呼んできてあげてくださいまし。わたくしは準備をしてからすぐに向かいます……」


 そう言われたので、私達はラインバックを呼んできた。ラインバックはフォーチュンの家の風景を見ている。


「ここが占いの館か。いかにも当たりそうな感じだな。で、フォーチュンはどこだ? 早いとこ占ってもらおうぜ!」


 ラインバックが言い終わったのと同時にフォーチュンが階段から上ってきた。


「お揃いのようですね……それでは、始めます」


 そして、フォーチュンは占いを始めた。水晶が輝いている。


「…………見える……あなた方の未来……邪悪なる闇……大いなる海……そして、聖なる光の声……。むむっ出ました! ガブリと言うわ。心して聞くように」


 フォーチュンは占いをやめて、占いの結果を私達に告げる。


「リュア、リンク。もしあなた方が本当に幽霊船を見つけたいと望むなら……邪悪なる闇の力と戦うことになるでしょう」


 でも、ガノンドロフよりは弱かったりして! それなら楽勝なんだけどなぁ……。


「それでも貴女はテトラを助けたいのですか?」

「もちろん! 親友を放っておくなんて出来ない!」


 私の言葉を聞いて、フォーチュンは微笑みながら私を見た。


「よろしい。まっすぐで少しもくもりもない綺麗な目をしていますね」


 それもそうだよ! なんてったって私は自分を見つけることが出来たから!


「では、この島の山頂にある炎の神殿に向かいなさい。そしてそこに巣食う闇の力を打ち倒すのです。そうすれば、あなた方は求める道を切り開く力を手にすることが出来るでしょう……。リュア、リンク。あなた方は運命を変えられる強き心を持っています。助けを求める光はどんどん弱くなっています。急いであげてください」


 運命を変えられる強き心……変わらないものもちゃんとあるよね……?


「闇の力か……おい、リンク、リュア! ちょっとヤボ用を思い出したから俺様は先に帰るわ。じゃあな!」


 そういって、船に戻って行ったラインバック。


「……なによ、アイツ。あんなの放っておいてさっそく神殿に向かいましょ!」

「おぉ〜!」


 シエラの掛け声に合わせて、相づちをしながら手をグーにしてあげるリンク。時々、リンクが可愛く見えてしょうがない。
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