風の歌姫(夢幻の砂時計)

□プロローグ
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 さっそく行こうとしたら、ラインバックに話し掛けられた。


「おっとちょっと待て! 1つ言い忘れてたんだが……この神殿をむやみに歩き回ると体力を吸い取られちまうぞ!」


 なんで今言うの!? 私はラインバックを見て怒る。


「大事なこと早く言ってよ!」

「……怒ってるリュアも可愛い…」


 だ、大丈夫リンク!? 最近すごいことになっているんだけど!?


「まあ、話は最後まで聞けよ。確かにおっかねぇところだが……どこにいても体力が吸われるって訳でもネェんだよ。理由はわからんが…ほれ、俺様やオマエらが今いる床の上にいれば平気だ! 紫のところがたくさんあるな。つまりそこは安全ってわけよ! どうだ簡単だろわかったか?」

「ちっ、わかった!」


 えぇ、舌打ちぃ!? リンク、いったいラインバックに何の恨みがあるの!?


「なぁに、ところどころでこまめに回復させればちょろいもんよ! 早くここから出してくれ! それじゃあ、よろしく頼んだぜ!」


 私が行こうとしたけどリンクに止められる。なんか、さっきからリンクにいろいろ邪魔されてる気がするけど……。


「俺が行くからリュアはここで待ってろ!」

「大丈夫? 行くのなら無理はしないでね?」


 私がそういうとリンクが微笑んで行ってしまった。すると、ラインバックの前にあったトゲが引っ込んだ。


「うおっ、マジか!? あのガキ、本当にやりやがったぜ! さてと、こんなあぶネェとこさっさとズラかるとするか! イヤッハーーーーッ!!」


 そういってラインバックは私のところに走ってきた。そしてリンクが戻って来ると……。


「ふぅ……ここまでくりゃあ一安心だぜ」

「ちょっと! 足をくじいてたんじゃないの! スタスタ歩いてるじゃない!」


 リンクと共に行動していたシエラがラインバックに向かって怒っていた。そういえばそうだっけか? 私はその事をすっかり忘れていた。


「人に助けを求めておいてどういうつもりよ!」


 シエラがそう言うと、背を向けていたラインバックがこちらを振り向いて言う。


「なんだよ、オマエが助けた訳でもネェくせにうるせーぞ!」


 私とリンクは顔を合わせた後、ため息をついてラインバックに近づいた。


「おう坊主! ちっこいクセになかなかやるじゃネェか。……俺様の次くらいだけどな、まぁ助かったぜ」


 これ……あれか? あの有名なツンデレっていうやつか?


「俺はリンク! こっちはリュアで俺の彼女だ!」


 そう言われて顔を赤くする私。なんか赤面祭りな気がするんだけど……。


「名前はリンクとリュアってのか? ヘンな名前だな」


 オマエの方がよっぽどヘンな名前だ! そんなこと素直に言えるわけなく、心にしまっておく。


「俺様の名前はラインバック! 海の男よ! どうだ? イカしてるだろ?」

「全然イカしてねー」


 私の隣でリンクが小さく呟いた。今のは聞かなかったことにしよう。私はラインバックの話を再び聞いた。


「俺様としたことがここに入ったまではいいが罠にはまっちまったワケよ。ボーッとしてると命を吸われちまうし、全く物騒な神殿だぜ。ところでオマエらこそ、こんな所まで来て俺様に何のようだ?」

「実は幽霊船を探しているんだ!」


 リンクが言うと、ラインバックが驚いていた。


「なに!! 幽霊船を探してるぅ!!」


 ラインバックがリンクの肩を掴んで揺らしはじめた。


「まさか、オマエらも幽霊船の財宝を狙ってるんじゃねぇだろうな!!」

「違うもん! 幽霊船にいる友達を助けにいくの!」


 私がそういうと、リンクを揺らすのをやめたラインバック。


「なるほど、話は分かった。くぅ……泣けるじゃネェか!」


 そういったラインバックはさらにリンクを揺らした。もうやめたげて! リンクの目が回る!!
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