風の歌姫(風のタクト)

□プロローグ
5ページ/7ページ

「ここの坂キツいよな〜〜」


 リンクが俺の発言に不思議なところがあったのか、質問する。


「なんで“よな“なんだ?」

「そういやリンクには言ってなかったな。この上にある花に水をあげに行ってたんだよ」

「そうなのか……。って、通行止めしてあるのにどうやっていってたんだよ!?」

「森に入ってから教えるから」


 短剣があるなんて、まだ言えないから。穴が空いてる橋を通って森の前まで来た。


「森に入るぞ〜〜!!」

「おお!!」


 森の中に入り、テトラちゃん何処だろう……と思ってた。


「さっきの子いたよ!」


 リンクが指をさした方を見ると、テトラちゃんは服が木にひっかがっている。


「よし、行こう!」

「モンスターがいる!?」

「僕が殺るから先に行ってろ!」


 胸を張って言った僕にリンクが驚く。


「大丈夫なのか?」

「大丈夫だって! コレがあるからね」


 パンツが見えないギリギリのところまでスカートを少しめくって隠し持っていた短剣を見せる。


「短剣あったのか……って、早くスカートを下ろせ!」


 スカートをめくるのを辞めて、ボコブリンに挑発をする。


「そこの魔物!」


 僕がボコブリンの相手をしている間にリンクは走って行く。僕はボコブリンを倒して崖に登る。


「ん?」


 崖を上って大きな岩の隣に看板があり、妖精の泉跡とかいてある。


「へーこんなところがあったのか……おっきい岩で塞がれているけど後で役にたちそうだな!」





 あ、あぶねー! さっきのリュアを見て我慢できるか心配だった。俺、一応思春期なりかけなんだよ……。
 先に進むと、敵が2体いた。


「敵が2体!? どーすりゃいんだよ!?」

「1体よろしくなっ!」


 そういったリュアがやって来たが、ボコブリンにリュアの長剣を奪われた。


「長剣奪ってやったぜ!」

「僕には短剣があるんだよ!」


 2人でボコブリンを再び倒した。魔物が落とした2ルピーを拾うとアヤが文句を言いはじめた。


「チッ。たかが2ルピーか……」

「ん? わぁぁぁ」


 木にひっかがっている女の子が暴れた。


「ちょっと! そんなに揺らすと……あ」


 ボキッ。その音と共に女の子が落ちた。


「キァァァァ!! アイタタタ……なんだいその服? それよりココは?」

「プロロ島の森だ!」















「そうか! 私はデカイ鳥に……」


 テトラちゃんは思い出したかのように喋る。出口に男性がいる。テトラちゃんの海賊の一味なのか?


「オーーイ! アネキー! テトラのアネキー!!」


 その人がテトラちゃんに近づくと、泣くことを止める。


「よかった……無事だったんッスね。山のてっぺんに落ちてくアネキを見て、俺はてっきり……」


 テトラちゃん、こんな体が大きい人に心配されてる……。


「てっぺん? じゃあ、鳥のヤツ……を山のてっぺんに落としやがったんだね! やってくれるじゃない!! さぁ、こんな所でグズグズしないで行くよ! ヤツに、この借りをキッチリ返さないとね!」


 そう言い残したテトラちゃんは僕らを置いて走って行く。


「アネキ……この小僧と小娘は?」

「いいから、かまってないでサッサと行くよ!」


 忘れられている…? テトラちゃんは2,3歳頃に一緒に遊んでたんだよね?

 そのあと4歳になったら別れちゃったけど……。外に出ると橋の反対側にアリルがいた。


「にいちゃん!」


 アリルが手を振っていたので振り替えした。


「ヘヘッ」


 アリルが、さっきの鳥がアリルに向かって飛んで行く。僕は咄嗟に声を出した。


「アリルー! 来るな!」


 だが、アリルは現状が分かっていなかった。アリルが鳥に気づいたが、避けることができなかった。


「え? うわあぁぁぁぁ」


 鳥は何故かアリルをつかんで飛んでいった。なんでアリルが!?


「にいちゃーん! アヤねえちゃーん!」


 シャキッと、その音が聞こえて僕が振り向く。隣で剣を構えているリンクがいた。


「リンク? お、おい!!」


 リンクが鳥に向かって走っていった。


「とりゃぁぁぁ!!」


 あ、下は海だってのに……。リンクはそれに目もくれずアリルを助けだそうとするが、海の中に落ちるところをテトラちゃんがリンクを掴む。


「あっ、バカ こらっ! もう、暴れんじゃないよ!」


 僕達は連れ去られたアリルを見ている事しか出来なかった。


「アリル……」


 リンクはそれを悔しそうにずっと見ていた。その気持ちは僕も同じだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ