風の歌姫(風のタクト)

□プロローグ
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「兄ちゃん、その服おばあちゃんが作ってくれたの? だけど、なんだか暑そうだね、その服……でもカッコイイよ!」


 確かに、リンクが着ている服を見ると、とても暑そうに見える。でも、その緑衣は何故かリンクに似合っていた。もしかして、昔も着ていたりして……。


「アリル、ほら貸してあげるんだろ?」


 僕はアリルに聞いてみると、元気よく頷いて笑顔を見せて来た。


「うん!」

「リンク兄ちゃんおめでとう」
「リンク、誕生日おめでとう」


 僕達は声を揃えてリンクを祝う。アリルがリンクに大事な望遠鏡を渡す。リンクが少し驚いていたけど、笑顔を見せてアリルから受け取る。


「どお! どお! 気に入った? にいちゃんだけは特別だよ! もちろんリュア姉ちゃんもだよ! ヘヘヘッ」


 可愛い。そんな風にアリルの事を思ってから、リンクを見て口を開く。


「なぁ、リンク。ここから家の方を見てみな」


 そして家を指す。ちょうど、オドリーさんが手紙をポストに入れているところだ。


「うん」


 僕はリンクが望遠鏡を使って覗いたことを確認すると、再びポストに目を向ける。


「家の前にオドリーいるな!」


 オドリーが途中で、空を見た。いったい何があるんだ……?


「でもなんか様子が変だよ!」


 アリルが彼の様子を見て不思議そうに思っている。オドリーが上を見て羽を羽ばたかしている。つられて上を見ると僕は驚いたけた。


「お前ら! 上を見ろ!」


 見たこともないくらいの大きな鳥が誰から掴んで飛んでいる。目を凝らしめて見ると、小さい頃に仲がよかったテトラちゃんだ。
 海賊が後から追い掛けてきて、大砲で岩を当てていた。大きな鳥に岩が当たると、テトラちゃんがプロロ島のてっぺんの森に落ちてしまった。


「森に誰か落ちたよ! どうしよう!」


 アリルがこちらを見て困った顔をして言った。僕はリンクを見て口を開く。


「リンク行くぞ!」


 僕は親友を助けに行くために、隣にいたリンクの腕を掴んで走っていった。


「ちょいちょい、まっ、待て! 腕、腕ちぎれる!」


 痛がるリンクを無視して急いである場所に走って行く。










「……早く兄ちゃんとリュア姉ちゃんがくっつきますように!」


 アリルがそう願っているとは知らずに。
























 僕達が着いた場所は赤シャチの家だ。唯一、この島で剣を持っている人だ。きっと貸してくれるだろう! そう考えながらドアを開けて赤シャチを呼んだ。


「赤シャチ!」

「なんじゃ?」


 赤シャチの前で頭を下げて頼む。いきなりの僕の行動に赤シャチは驚いていた。


「剣を下さい!」

「お、俺もやる!」


 僕に引き続き、リンクも僕と同じことをした。僕達の決意が通じたのか、赤シャチは剣をくれた。


「あいよ。ちゃんと正しく使うじゃよ!!」

「はい!!」


 僕達は大きな声で返事をして、赤シャチの家から出た。
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