風の歌姫(夢幻の砂時計)
□火の島
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私がラインバックの船に戻ってみるが、ラインバックすらいなかった。
「……どこに行ったんだろう?」
すると、後ろから足音が聞こえて振り返るとリンクとラインバックがいた。
「あ、リュア! 今からメルカ島に戻るんだ。行こう!」
リンクに手を引っ張られながらもラインバックの船に乗って出航する。私は海を見ながらいろんな事を考える。さっきダークに言われたこと……これからの冒険について。
悩んでいることはいろいろあるが、迷っている暇なんてない。こんなこと考えはじめた瞬間にもうメルカ島に戻ってきた。
「リュア行こう! 海王の神殿で何か出来るかもしれない!」
「そうだね!」
今は考えるより、行動だと思ってリンクについて行く。海王の神殿に戻って来ると、誰かが呼び止める声が聞こえた。
「おーーーーーーい!! 待て! 待てって!」
振り返ると、やはりお宝大好きラインバックが立っていた。
「そんなに、エンジン蒸して神殿の奥にまで行こうたって、とても最後までもたねぇぞ! 急ぎたい気持ちもわかるがそいつぁ、空回りってもんだろ!」
あ……そういえばラインバックの言う通りだ。
「この神殿は命が吸われちまう危険な場所だってこと、忘れちゃいねぇよな? 精霊とやらの手がかりを探すのはいいが、何かいい作戦でもなけりゃあ……」
そういったラインバックが近くにあった骨に指をさす。
「こんなふうになっちまうのがオチだぞ! ……まあ、その……なんだ。おまえら2人で何とかするってんなら無理にゃあ止めねえケドよ」
ラインバックに言われて再び考えはじめる。すると、シエラがラインバックに近づいて言う。
「何よっ! また、リンクとリュアに行かせるつもり? 危険な場所だって分かってるならアナタも何か考えなさいよ!」
寧ろ、こんな状況で考えられる事は少ないはずなんだが……。
「リンク、リュア……確かにこの神殿はすごく危険よ。このまま入っても、奥まで辿り着けないかも……」
私達は次の言葉がなくなり、沈黙になってしまう。そんな沈黙が続いたあと、誰かがその沈黙を破った。
「そうでもないぞ」
リンクでもラインバックでもない声を聞いて私が振り返る。
「そうなの……? シーワン?」
タイミングよく来たシーワンは話を続けた。
「封印されていた力の精霊を助け出しとは見事じゃ。おぬし達ほどの力があれば、幽霊船を追い掛けても大丈夫だろう」
それ……本当に言っているの? それに、なぜ力の精霊を封印から解いたこともわかるんだ?
謎だ……この人が考えている事が。
「リンクよ……あの祭壇に登るがよい」
そう言われたリンクは言われるがまま祭壇に登る。そこにあったのは何かの器だった。
その器が光り輝いた後、炎の神殿で見た砂が空中で爆発した。
「今じゃリンク! その砂時計を掲げるのじゃ!」
「え……? は、はい!」
リンクが砂時計に触れると、砂時計の中に砂が入る。彼が祭壇から降りると、シーワンが言う。
「リンクよ。それこそは夢幻の砂時計! それがあれば、神殿の中でも命を吸われることがなくなるのじゃ!」
「これが……夢幻の砂時計……」
それを聞いたシエラが喜んだ。
「やったぁ! これがあれば、精霊の手がかりを探しに行けるのね!」
「ただし! 中に砂がある間だけじゃ。砂が全部、下に落ちてしまえば再び命を吸われ始めるじゃろう」
そりゃ当たり前だよね。砂時計なんだから。
「砂時計なんだから、ひっくり返して使ったらダメなのかよ?」
あ……ラインバックの言う通り、そうすれば命を吸われることはずっとない。
「一度、下に落ちた砂はその力を失うのじゃ。太陽の光を浴びれば元に戻るがな」
「一度外に戻らないといけないのか……」
なんかめんどくさいなぁ。ま、私が行く訳じゃないし。
「今、中に入った砂は時の砂という。炎の神殿でおぬしらが倒した魔物が持っていたものじゃ。もとは、この海を治める大精霊海王のフォースが結晶になったものと言われ、持つ者にさまざまな力を与える不思議な砂じゃ」