風の歌姫(夢幻の砂時計)
□プロローグ
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海王の神殿から出ると、外でラインバックがいる。顔色は良くなっていた。
「おぉ戻ってきたな! どうだ? ちゃんと宝箱の中身は持ってこられたのか?」
すると、シエラが怒りを表すように、その場で激しく羽ばたいた。
「何言ってんの! 足はくじいても逃げ足だけは速いのね!!」
「なに! 逃げたんじゃない! 船の事が気になって戻ろうとしただけだ! 船乗りとしてはいかなる時も船の事を忘れてはならないんだよ!」
こいつらは仲良いのか悪いのか……私にはわからなかったが、ラインバックが言ってる事は間違ってない。前に使っていた船は、生きていたからね。ひとりにしても問題がなかったけど……。
「それより……宝箱の中身はなんだった?」
「はい、コレ!!」
そういって、リンクはラインバックに地図を見せる。
「お! それだな! その地図見せてみろ!」
ラインバックはリンクから地図を受け取ってじっくり見ていた。
「……なんだこりゃ? ただの海図じゃねえか! ははぁん、なるほど! こりゃあ、あれだな! この地図は俗に言うお宝の地図ってヤツだ! この海図に隠された謎を解けば、お宝の場所……。つまり幽霊船の位置がわかるに違いない!」
いや、この海図はそんなのないし、ただの海図でしょ!
「よーし! さっそく船に戻ってこの海図の謎を解いてやるぜ!!」
そういってラインバックは海図を持って走って行ってしまった。
「なによ! あいつ! 地図を独り占めして持って行っちゃったわ!! 私、おいかけて来る!!」
そういってシエラがラインバックのところに飛んでいって、私達は残された。
「……行っちゃった」
「なぁ、リュア? ラインバックに俺の事、なんて言ったんだ?」
えぇ!? い、言わないとダメなの!?
「俺もシエラに言ったこと言うからさ! な?」
私は小さく息を吐いてから、たくさん空気を吸ってさっきと同じことを言う。
「リンクはね、優しくてかっこいいし、家族思いなんだよ。まあ、今は離れているけどね。リンクかっこいいよリンク。後、ときとぎ変なところもあるけど私の事を大事にしてくれてるんだよ! そんなリンクも私は大好きだよリンク。最近はよく私の赤面を見たいのか、よくいきなり抱き着いたり、構ってほしい時もあるの! 甘えん坊のリンクも可愛いからいいんだよね! ……だけど……?」
私がリンクを見ると、手で顔を隠していた。もしかして、嬉しくなかったの!?
「お、俺……リュアにそう思われて嬉しい。じゃあ、俺も言うな! リュアは常に双剣を装備しているんだ。あんな可愛い顔してだ! リュア可愛いよリュア。それに、リュアの太ももはふにふにしてて気持ちいいんだ! 海に落ちる前に膝枕してもらっていたけどすごく居心地良かったんだ! 枕は一生あれでいい位に! 」
何となくリンクが顔を赤くしていた理由が分かった気がする……って!
「太ももの話はもうしないで!! は、恥ずかしいから〜〜!!」
私はリンクを置いていって先に行く。せっかくリンクの弱点を握れたと思ったら、逆に取られた気がする〜!! ラインバックのところに行くと、シーワンもいた。
「あ、リュアだ! ねぇこの海図の謎、解ける?」
私は海図を受け取ると、少しゴワゴワしている所があることに気づいた。そこををほろってみると、印が浮き出てきた。
「この印がある島は火山の噴火によって出来た『火の島』と呼ばれる島じゃ! リュアよ! この火の島には未来を見通す力を持つフォーチュンという予言者が住んでると聞く。幽霊船に繋がる手がかりはその者に聞いてみるがいいじゃろう」
「ああ、これが火の島か……ま、まあオレもここに何かあると思ったぜ……! この島に行ってフォーチュンってヤツにあって来ればいいんだな!」
そしてリンクも来る。ラインバックやシエラ、リンクと共に火の島を目指した。これから起こることなんて知らない。
それでも私はリンクと冒険を続けられたらそれで良い。