book.

□焦がれてやまない
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「ここが、電脳世界…」

わたしはフォルテに会いに、パルス・トランスミッションを使い電脳世界にやって来た。
裏世界最強と恐れられる彼だが、あの脅威的な力を見て一目惚れしてしまった。
ある意味、一方通行の恋である。

辺りを見渡すと、倒壊された柱だらけで、思っていた電脳世界とは違った。
とても不穏で、いつ敵ナビが出てきてもおかしくない、そんな雰囲気。
こちらに来る前に、ロックかブルースに着いてきて貰えば良かったかもしれない。
あの子達とそのオペレーター達は、わたしがフォルテに会うのを物凄く制止してきたのが記憶に新しい。

とりあえず、道なりに歩いてみると前方から人影が近づいてきたから、道を尋ねることにした。

「あの、ここはどこでしょうか?裏に行きたいんですけど、どの道を行けばいいのか教えてくれますか?」

尋ねてから気がついた。
この人、黒い。色も雰囲気も黒かった。
もしかしたら、ここは既に…

「ここは裏だが、お前見ない顔だな。なにをしに来た」

予感が当たった。本当に裏だったみたいだ。
歩く手間は省けたけど、さすがに怖い。

わたしは、隠し事をしても無駄だと察し、フォルテに来たと言うと、ナビは目を丸くした。
やっぱり、フォルテは危険みたいで、かなりの剣幕で止められる。
でも、せっかくここまで来たんだから、一度だけでも会いたい。その旨を伝えると、フォルテの居場所を教えてくれた。
フォルテはここから2つエリアを進んだところにいるらしい。
裏の住民は怖いナビばかりだと思っていたけど、案外優しいナビもいるみたいだ。

「教えてくれてありがとうございます。それじゃあ、わたし行きますね」
「気をつけて行けよ。…そうだ、こいつを持ってけ」

別れを言い、歩き出そうとしたらチップを受け取った。
わたし人間だから使えないと思うけど、有難く貰うことにする。

受け取ったチップをよく見ると、ダークソードと書かれていて、驚いて落としてしまった。
前言撤回。あのナビ怖い。



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