book.
□太陽は見てる
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*短いです
「あ…」
休憩時、今日は天気がよかったから、屋上に行ったら先客がいて声が漏れた。
報告書が嫌いな赤い隊長さん。もといゼロが寝転んでいた。
また、サボっているんだろう。
近づいて様子を見てみると、いつもは気配で起き上がるのに、今回は青い瞳をまぶたを隠していた。
全く起きる様子はなく、完全に寝入っているのがわかった。
太陽が暖かい日差しを当てていて、わたしもその場で、うんっと伸びをして太陽光を浴びた。
ゼロの隣に腰を下ろして、顔を伺う。
いつ見ても端正な顔立ち。これなら涎を垂らしても、イケメンで片付けられるだろう。
白くきめ細かい人口皮膚。そっと触れてみると、人間のわたしのよりスベスベで思わずため息が出そうになった。
すると、サーッと風が吹き、わたしとゼロの髪が靡いた。
気持ちいい…。
これなら、寝入ってしまうのも頷ける。
何を思ったか、わたしは周りを見渡し誰もいないことを確認して、ゼロの頬にそっと唇を押し当てた。
恥ずかしくなって、頭を上げようとした瞬間、後頭部を押さえつけられてしまった。
「ッ!?」
何が起こったのかわからず、目を見開くと、青と目が合った。
「寝込みを襲うなんて、やるな」
笑みを含んだ声に、一気に顔が熱くなった。それと同時に、やばいと頭の片隅で思った。
「お、おはようゼロ…。後ろに回した手を退けてくれる?」
「嫌だね。…なあユリ、口にはしないのか?」
やんわりと拒否をして、ゼロはわたしの下唇を親指で撫でた。
この行為は、いつもキスする前にやるもので、一気に心拍数が上がった。このままでは、キスされてしまうため、なんとか逃げ出そうと力を入れてもがくけど、ビクともしなかった。
やだ、この人寝起きなのに力強いんだけど。
「逃げられると思うな」
その一言を最後に、わたしはキスをされてしまった。
もう二度と、寝込みを襲うなんて事は絶対にしないと心に誓った。
-Fin-