short(dream)
□向日葵畑の約束【相葉雅紀】
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あの日の約束。
あなたは覚えていますか?
夏休みになると現れるあなた。
太陽の光が差す向日葵畑で遊んだよね。
あなたの笑顔、煌めく夏。
なによりも輝いていた。
「大丈夫?」
ペットの犬を探しに山で迷子になっていた私。
そこで私とあなたは出会った。
事情を話すと彼は、私のペットを必ず見つけてくれると言ってくれた。
日が落ちる夕暮れまで、泥まみれであなたは探してくれた。
「いた…!」
しかし、いる場所は険しい崖の上。
ペットのポチは私達を見つけると、尻尾を振り喜んだ。
その途端、ポチは足を踏み外し崖から落ちてしまった。
「やだ…ポチ!!」
私は怖くて動くどころか目を閉じてしまった。
「大丈夫だよ。」
その声にゆっくり目を開けると、彼はポチを抱きしめ優しく撫でていた。
震えるポチに「大丈夫」「大丈夫だから…」って。
その優しい瞳に私は、恋をした。
彼は夏休みに帰省でこの田舎に帰ってきている為、夏休みが明けると居なくなってしまう。
「来年の夏また来るから!向日葵畑で待っていて。約束!」
俯く私に彼は言った。
そして毎年、向日葵畑で彼が来るのを待っていた。
彼は約束通り夏になると来てくれた。
向日葵畑で追いかけっこしたり、近くの河原で水遊びしたり、内気な私が笑顔で過ごせる唯一の時間だった。
それなのに…
彼はパタリと来なくなってしまった。