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□気付いたら処刑人予備軍の見習いになってた
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どーも、見習い処刑人です。
聞いてくれよ俺が見つけた記念すべき一人目の罪人が俺を轢き殺したやつだったんだぜ?笑えるな、ほら笑えよ。
まぁおいといてよ、俺は処刑人だ…見習いだけど。
こいつの事を真実まで連れてかなきゃならんわけだ。どうやら轢き逃げのおっさんは俺がs…いや、生前の俺が死んじまったのが自分のせいじゃないとかほざいてたのを覚えてる。
吐き気がするぜ、おっさんのせいで俺死んだのに。
俺が死んだというその事実から、その真実から目を背けてる。
豚箱いきは勘弁ってか…?ふざけるなよ。
処刑人らしかねぇが…

『ぜってぇ墜す…』



××××××



「ひっ…」
寒い…あの三角兜を被った化物を見た後から寒気が止まらん。
ワシが何をしたというんじゃ、ワシは悪くない、いきなり出てきたあの子供が悪いんじゃ…ワシは、ワシは

「ワシは悪くない、悪くないんじゃ」
必ずやこの寂れた街から出ていってやる。
絶対、生きてここから…

「…っ!?」
…足音が聞こえる、女子(おなご)が履くようなヒールの音、奴じゃな…三角兜の化物め…忌まわしいことこの上ない、ワシは悪くないじゃないか、ワシがおるんだったらあの子供もおるはずなのに…まさかもう…いや、考えるのはやめじゃ…それにあの子供はすでに…すでに、なんじゃワシは何を思い出そうとしとる、思い出せん、なんじゃったか
わからん、わかラん、ワカラン
ワシは何を忘れているんじゃ…ん?足音がやんだな
行ったか…?

「行ったようじゃな、ふんっ馬鹿な化物じゃ」

カツ

「…!?」
後ろに何かがいる、だが振り向いてはならん、逃げなければならん

ゴン

なんの音じゃ、まさか…三角兜を外したのか

コト

なんなんじゃ、何を

『おじさん』
「!?」


××××××


『こっち側…か』
にしても何かと便利だな、この体
本能なのか罪人の居場所がすぐにわかる。だがいかない
確実に墜すためにはまだたらない
…路地か

『…』
わざと足音をならす、そして獲物(罪人)をおびき寄せる
単純な作業だ
頃合を見計らい足を止めた
安心しきった顔してよく出てこれたもんだな。
おっさん

カツ

またわざとならす
「…!?」
ほぉら、びびった…まだまだだ

ゴト

三角兜をわざと雑におろす

コト

そしてガスマスクも外す
さぁ、準備は整った。後は声を出すだけだ。あどけない、子供の声を、自らが轢き殺した子供(ガキ)の声を

『おじさん』
「!?」

あぁ、愉しくて仕方がない
一瞬ではあるが処刑人らしからぬ不気味に顔が歪んだ。


××××××


振り向いてしまった。
そこには血だらけになり原形を留めていない子供が立っていた。

『いたぃ、よおじさん、どうして、ドウシテ』
「ワシは、ワシは…」

声が震える。
ワシはちっとも悪くないのにどうして怯えておるんじゃ

「…悪くない、お前が飛び出したのが悪いんじゃろ…!」
『…そうやって、知らんぷりするの、どれだけ痛かったか、悲しかったか、酷いよ…ヒドイ












ホントにヒドイ』
「なっ!?」

姿が変わった!?どういうことじゃ、何がどうなってる、あの子供は、どうして三角兜が目の前にいるんじゃ…!
そうか…

「わかったぞ貴様、ワシを嵌めようとしておるんじゃな、そうはいくものか!ワシは悪くないんじゃ、そう…あの子供が悪い…ワシはちゃんと守っておった…!」
『…』

なぜ黙っておるんじゃ、ワシが正論をいったから反論ができんのじゃろうが
ワシは騙されんからな
ワシは今がチャンスと思いそこから走りのいた、あそこに長居はできん


××××××



『まだまだ、か…』
自分は悪くないだって…?
ほんと、ふざけている
自分のことなのに見ようとしない…
そろそろ処刑人としての本気を見せてやろうじゃないか
まってろよ、おっさん
必ず…"処刑"してやる。












*****

はい、おはようございます、こんにちは、こんばんは
俺だよ
こういうおっさん俺は嫌いです
地獄に落ちればいいですよねぇ、ほんとにね
次でおじさんは処刑予定です
もしかしたら伸ばすかも、結局は俺の気分です
それでは
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