悪魔狂の先祖返り
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時は日付を少し越えた頃。場所はかのヴァチカン本部──の、薄暗い廊下。そこでは珍しい黒髪をひとつに結んだ東洋人が、ある部屋目指して一人歩いていた。
『あ、雪。丁度仕事終わった感じ?』
もう少しで扉に手をかけるほんの少し前に、ヒョコリと顔を出したのは伸ばしっぱなしの髪で目元の隠れたアメリカ人。
『まあ、そんなとこだけど……まさか追加が出来たとか?』
彼の出現に別段驚くこともなく、東洋人──雪──は嫌な予感に眉をひそめた。それとは対照的に、アメリカ人は陽気に笑い、
『まっさかぁ!優秀な雪くんのお陰で予定はほぼスケジュール通りに進んでいるよ!今日はホラ、これこれ』
グイッとジョッキを煽るジェスチャー。どうやら今夜は一杯ひっかけるつもりのようだ。本当に仕事が終わったのに安心した雪はひょいと肩をすくめ、まあ今夜くらいはと遊びに出かけることにした。
場所は変わって、酒場にて。