story2 (BL)
□貴方は永遠の薔薇になって
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______酷く嫌な夢を見ていたような気がする
はっきりと思い出せないけど、とても恐ろしいことが起こったような…そんな感覚
そんな夢から目覚めて、一番最初に目に入ったのは花瓶に入った薔薇
あのひとが僕に贈る物だ。毎日毎日必ず持ってくる
初めの頃は断っていたけど花に罪は無いと受け取ってから、もうそれは日課になっていた
「お兄ちゃん_!!」
耳に届くのは聞き慣れた少女の声、ヒナミちゃんだ
「ヒナミちゃん?どうしたの、そんなに慌て「良かった…、良かった……」
瞬間、小さな身体が僕に抱き付いて大きな瞳は大粒の涙でいっぱいになっている
「ヒナミちゃん、怖い夢でも見たの?大丈夫?」
「……え」
涙で埋まる瞳を大きく見開いて、明らかに困惑した表情を見せる
「アンタ、何も覚えてないの?」
ヒナミちゃんの後ろで腕を組んで難しい顔をしていたトーカちゃんが僕を見つめた
「覚えてって何が…」
「頭打って記憶飛んだってか」
ドアを開けて入って来たのは西尾先輩
トーカちゃん同様、眉を寄せて難しい顔をしている
「なんで皆ここにいるんですか?僕、頭打ったの?」
「……マジかよ。まぁ、簡単に言えばそういう事。んで、俺らは見舞い」
「お見舞い…」
あぁ、成程
それで薔薇が……って、あれ?
おかしい、薔薇があるのに、あれ?なんで…、なんで……?あれ?
どうして、
「月山さんが居ないの?」
皆の表情が一気に暗くなるのが分かった。まさかあのひと、僕の見舞いを投げ出して美食漁りに行った?後で文句を言ってやろうと思った時、ヒナミちゃんが泣きながら必死で言葉を発する
「………お兄ちゃん、月山さんはもう居ないんだよ…?」
居ない?何処かに行ったの間違いじゃなくて…?あれ、あれ……僕は、僕、何か忘れてる?あれ…?
「なぁ、カネキ。落ち付いて聞け」
聞いてはいけない気がする。耳を塞がなきゃいけないような、認めてはいけないような、とにかく嫌な感じがする。
ききたくない、しりたくない、おもい…だしたくない
「__月山は、」