story2 (BL)

□しあわせ
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風の冷たくなる夕方、僕は屋上に居た
何も考えず、平和な時間を刻み付けておくように



「___寒くありませんか?」

凛とした、透き通る声
誰の声かなんてすぐに解った
振り向くとそこに居たのは白髪を風に揺らす彼


「やぁ、カネキくん。そろそろ戻ろうと思っていたんだ…き「風に当たりたくなって」

"君はどうしてここに?"と聞く前にまるで僕が何を聞くか知っていたかのように彼は口を開く

「フゥン、何かあったのかな?」

「別に。たまにこうしたくなるだけです、あるでしょう?」

そんな他愛ない、まるで友人の様な会話をした後に彼が柔らかく微笑む

「貴方とこんな風に話せる日が来るなんて、思いませんでした。」
「___ありがとうございます」

思ってなかった言葉に驚きながらも気恥しそうに室内に戻ろうとする彼に声を掛ける

「カネキくん、君は今、幸せかい?」

彼が振り返り、真っ直ぐに僕の目を見て答える

「幸せですよ、とても」

美しかった
振り向いた迷いの欠片もない彼の顔が、夕日に重なる白髪が

「……月山さんは幸せですか?」

「……Oui,勿論さ。主の幸せが僕の___「貴方が幸せかって聞いてるんです」

僕の声を遮り、彼が僕を見つめる

「幸せだよ。とてもね」

顎をそっと触り、笑顔で応える
彼は満足そうに笑うと扉の向こうへ消えていった

幸せに決まっているだろう?
君が居る。君が幸せそうにしている
それ以外の…それ以上の幸せなんて望むべきじゃない

愛しい人にはとことん幸せでいて欲しい。それ以外には何もなくて、必要ない
君の、君たちの幸せを護るためなら僕は悪魔にだってなってやるさ
それこそが僕の幸せなのだから……
















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