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□呼び方
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「ねーねートミさん」
「んー?」
「私がもしも大学でのトミーさんの知り合いだったら私のことなんて呼びます? 」
「どしたの急に」
「ただなんとなく気になっただけです」
「そりゃー潤賀さんとかじゃねーの?」
「潤賀さん……。わー、なんか変な感じ。じゃあ三人称はお前じゃなくて君になるの?……うーん、やっぱり変な感じ。」
「何が言いたいの?」
「だから気になっただけだってば!」
ふーん、興味なさげに呟いて彼はスマホに向き直る。
何気なく横顔を見て、目が離せなくなる。本当に綺麗だ。整っていて羨ましい。
「トミー、トミさん、富永さん」

舌の上に転がすように呟いたそれに彼が反応する。
「意味なく呼ぶなよ。」
「……はーい」
素直に返事をして彼の肩に自分の肩を触れさせながらソファーの上で体育座りをする。膝に顔を埋めて、私は目を閉じた。
起きた時、彼が変わらずそこにいることを心のどこかで願いながら。

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