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□幸せな食事
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「ただ今店内大変混雑しているので申し訳ないですが相席をお願いしてもいいですか?」
よくとおる女性の声だ。
メニューを見ながら「別にいいっすよ」と返し、何やら違和感を感じて顔を上げる。
見知った顔がにやけヅラで頬杖をついてこちらを見ていて思わず突っ込む。
「いや座るの早えから!てか店員さんじゃなくてお前かよ」
「やーい引っかかってやんの〜」
さも楽し気にからかってくるモノンノに冷たい視線を送ってやる。
「なに?俺今日撮影じゃなくてリアルオフ日なんだけど。プライベートで食事に来たんだけど。」
「あ、そうだったの?私もだよ〜今日はオフ!」
「いや、お前は気が向いたらいつだって休みだろ」
「あは、ばれた?」
照れくさそうに笑うモノンノから視線を外しメニューを眺める。こいつにかまっていたらせっかくのオフ日が矢のように過ぎ去りそうな気がする。

「トミーさん決まりました?」
「だから早えってーの。そんな早く決まらんわ。そー言うそっちは決まったの?」
「はい!私はデミグラスオムライスですね」
「あーなるほどね。そういえばここ洋食屋だったよな」
「トミーさんは……うーん、あ、このナポリタンとか好きそう。ベーコンもついてるしボリューミー」
「お、たしかに」
「そういえばこの前の動画で似たの食べてましたね」
「俺これにしよっかな」
「はーい。じゃあ店員さん呼びますね。」
今度は本物の店員がやってきて注文を受け、一礼して去っていく。
水を飲んで口内を潤すと俺は聞いた。
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