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□ディズニー
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ディズニーで鬼ごっこ動画を撮り終えてエントランススペースに向かっている途中スマホが振動した。
怪訝に思いながらも取り出して着信相手を見る。
通話をスライドさせて話しかけた。
「もしもし」
辛そうな声が電話口から漏れ出す。
「と、とみさん、待って……」
「なんだよ、どうし……」
「うし、うしろ、ふりむいて」
俺の声に被せるように言われた言葉に渋々従い振り向いた。

「やあああっと振り向いたあああ……!」
少し離れたところで、脱臼しそうな勢いで肩を落とし耳からスマホを離す彼女を見て通話を切る。

「足速いよトミー…。ここじゃ走っちゃいけないから追いかけるだけで大変だった…」
めそめそするモノンノの横ではモジヤンが大量のお土産袋をもってシラっと立っている。
思わず半目になりながら俺は問う。

「おい、モジヤンの方が大荷物なのになんでお前が疲れてんの。」
「だってだって今日の企画が鬼過ぎたんだもの!!!」
日焼けのせいか幾分か赤くなった顔を更に赤くさせながらギャイギャイ反論する。曰く、

「聞かされていない企画をここに来た途端発表された。しかも企画内容を実施している最中にサンダルの紐が切れて地面に顔面を打ち付けた。挙句、お昼も食べさせてもらってない」

その隣でモジヤンがボソリと呟く。
「お昼は、食べたよ」
「チュロス1本は食事のうちに入らない!!」
間髪入れずに突っ込んだモノンノはモジヤンを見てはたと動きを止めた。
おもむろに相方の頭にはめられていたミッキーのカチューシャを取ると、躊躇することなく俺の頭に装着した。
「トミッキー……」
「トミックさんみたく言うな」
「似合ってるよ!トミッキー!」
なんで楽しそうなんだよカンタは……

モジヤンは逆にモノンノの頭からカチューシャを外しカンタの頭につける。
大量の袋を腕にかけてるのに軽々と持ち上げる筋肉がどこにあるのか……
「……カンフィー」
「ミッフィーの略かな?」
「たぶんダッフィー+カンタの組み合わせだと思うけどね!」
「お前も似合ってんじゃん。」
「どうせならエビのカチューシャが良かった…」
「ねえよ」

わいのわいの喋っていたら幾分か回復したらしいモノンノが首をかしげた。

「もう帰りですか?」
「ああ、用事は終わったしな。いつもの時間に挙げれるように編集する。」
「オレがね」
「じゃあじゃあついて行ってもいいかな?いいよね?いいと思う人ー!」
「ハーイ」
「いや、今モノンノがカンタの腕挙げさせて裏声使ったんじゃん。そもそもお前らの片付けとか大丈夫なわけ?」
「細かいことは気にしないのー!ちゃんと2人にもお土産買ったんだからいいでしょ!」
「許可する」
「わーい!ありがとうプーさん!」
「やっぱり出禁にしようか」
「嘘です!ごめんなさいい!!」

俺らは賑やかに夢の国をあとにした。

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