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□お姫抱っこをして欲しい!
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「たのもー!」
「おー、モノンノちゃんやっほ……」
「うわーめんどくさいやつが来た。」
「お帰りください」
「待て待て待て待ち給えよモジヤン君まで帰れなんてひどいじゃないか!てゆーかなんでここにいるの?聞いてないよ!」
「言ってないもーん」

会話文から失礼します。
スコールcallのボケ兼ツッコミ担当、料理上手でトミーさん一筋モノンノです。
彼らの過去の動画に触発されて衝動的にやって来ました。水溜りボンドhouse、そこに相方がいたのは予想外だったっていうか、本当に何でそこにいたの?
「カンタさんに編集の仕方を教えて貰ってたんだよ」
「なるほどなあ」
いつもありがとね。
……まあ、それは置いといて。
「とみやん!いや、まおー!」
「魔王って言いたいんなら語尾を伸ばすな。魔王ってちゃんと言って」
「まおー!」
「……もういい。で?なにしにきたの?」
「我を姫抱っこしてくだせえ!旦那!」
「カンタ。そろそろうちにもセコムつけよう」
「無視しないでくださいよおおお!見たんですよ!動画!」
「結構前のだろ。よく見つけたな」
「モノンノのトミー愛をなめないでいただきたい!」
「YouTubeで、トミー カンタ イチャイチャで検索したらすぐ出てきますぜ」
「シャラップゆっくり!そしてトミさん!ぜひお願いします!」
「……」
「何ですかそのビミョーな顔はあああ!」
「お前何キロ?」
「151.5cmの47.3kgです!」
「……もっと恥じらえよ。『女の子にそんなこと聞くなんて失礼だわ!』的な」
「モジヤンカメラは?トミーの女子高生真似っ子姿と声真似音声撮りたい」
「今日は持ってきてないけど」
「聞けよ!」
「どうですかい?旦那。やってくれると有難いんですがね。主に私のトミーゲージが底をつきそうなんで」
「いや、どんな基準だよ。あー、やったら帰ってくれるんだよな」
「……さーどうかな〜」
「……」
「ひいいい!!睨まないでください!分かった、帰りますよ!」
「横向いて」
「な、投げ飛ばさないでね……」
「家壊したくないからそれはねーわ」
「……」

トミーが屈んで私の肩甲骨と膝裏に手を差し入れ、次いで襲い来る浮遊感に思わず彼の首元に手を回す。
「感想は?」
「トミー筋肉質……好き」
腕を回した首元に顔を寄せて思いっきり抱きついた。
「……」
「お願い、もう一個いい?」
「なに、早くして欲しいんだけど」
「モノンノ姫って呼んでほしい」
「そこは本名じゃないの?」
ううん。と首を振った。
「今、名前なんて呼ばれたらトミーメーター振り切れて死んじゃう……」
我ながらか細いと思う声で呟くと一瞬トミーの肩が揺れ、くぐもった笑いが耳朶をくすぐった。
「仰せのままに」
かっこよすぎて反則だ。
「天音姫」
「っ!」
心臓がひときわ大きな音を立てた。
顔の熱がさらに高まり思わず腕を解いて顔を手で覆う。
その後すぐに下ろされた私は立っていられずにその場にへたり込む。
「な、なんで……名前!言わないでって!」
「魔王に弱点教えるのが悪ぃんだよ。なあ、天音姫。」
トミーが手を差しだす。恐る恐るそれに掴まると引っ張られて容易く抱きしめられる。
現状に理解が追いつかず呆ける私に
「安易にラスボスに近付くと容易く喰われちまうから気をつけるこった」
言葉とともに喉元を細い何かで挟まれた。
二、三回喉を食み離れるそれに視線を移す。狐だ。トミーが狐の形をした指で私の喉を……
そこまで考えてやっと理解が追いついた。
この上なく頬が熱を持ち思わず後ずさる。
「しし失礼しましたあああ!!」
駆け出した私の後ろで魔王がニヤついているのがわかった。
「もう来んなよー天音姫〜」

「あらら、あんなに頬染めて……魔王は健在だったね」
「ご愁傷様、モノンノ」
「いや、平然と言ってのけるお前らの方がスゲーわ。止めればよかったじゃん」
「いやー、だって……ねえ」
「うんうん、いいもん見れたい万事オッケーみたいな」
「ある意味お前らのがこえーよ」
「「それほどでも」」
「褒めてねえから」

おしまい

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