ブリーチ長編夢


□追憶の中で
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1.



「真子が、死んだ…?」


突然知らされた訃報に、私は目の前が真っ暗になるような気がした。
目眩がして立っていられなくて、思わず倒れそうになった私を支えたのは、先程私に絶望的な事実を伝えた張本人である藍染副隊長だった。


「大丈夫…?」

「はい…、すみま…せ…」


言いながら、酷い吐き気がした。


「大丈夫に見えないよ」


藍染副隊長は私を近くの椅子に座らせると、私の顔を覗き込む。
生真面目な眼鏡の奥の双眸が、気遣わしげに細められた。


「何で…」

「任務中の殉職だ。虚の討伐任務だった」

「そんな…」


平子真子は五番隊隊長で、私が知る誰よりも強い。
虚なんかに負けるはずはない。

私は縋るように藍染副隊長を見上げたが、やはり返ってくる答えは変わらなかった。


「残念だけど」

「…、」


私は藍染副隊長の言葉を聞き終わるか終わらないかの前に、その場で泣き崩れた。

真子とは、結婚の約束をしていた。

出会ったのは、私が五番隊に入隊した時。
最初はやたら絡んでくる、馴れ馴れしいロン毛だと思っていた。
だけど、真子を知るうちに、その真っ直ぐな情熱と強さに惹かれた。

真子が死んだなんて、すぐには受け入れられるはずはなく。
きっと冗談みたいな明るさで、「死ぬわけないやろ、アホ」なんて笑いながら帰って来るんじゃないか。
そんな淡い期待を抱いた私を、藍染副隊長は両腕でしっかり抱き締めた。


「僕が隊長の分まで、君を守るよ。だから…」

「…」

「気をしっかり持って欲しい。隊長のためにも」

「…っ、ぅう、」


私は藍染副隊長の逞しい胸に包まれたまま、嗚咽を上げて泣いた。






ったのは

(想い、それとも心か)




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