アスター

□大将戦、そして再会
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会場中に殺気が渦巻いていて気分が悪い……
周りの険悪な空気など幽助くんは全然気にしていないみたいだけど、こっちは何だか萎縮してしまう。ぼたんさんも幽助くん達のところに行って帰ってこないし……

《あーあー》

リングの上で相手選手は審判のマイクを奪って幽助くんを指さす

《戦う前に……ひとつ!! 貴様に言っておく!!

オレが弱いのはジャンケンだけだ!!ケンカは強ぇ!! 本当に強ぇぜ!! 》







シー……ン………………


「………………。」


思ってもみない言葉に私だけでなくこの会場の全員が開いた口が塞がらない状態。

一拍置いて審判が新しいマイクを何処からか出しその場を取り持った

《えー、今のコメントを説明させていただきます。六遊怪はメンバーの順番と補欠をジャンケンで決めたというエピソードがあり……
したがって補欠とは名ばかり!! 実力で言えば六遊怪でNo.1!!と言っているのです!! 》


「はぁ……」

「なんとも……」

通訳を聞いて尚もポカンとしている私達を他所に幽助くんは早く試合がしたいと相手を急かしている

その相手は何故か自分の技は酔拳、酔う程に強くなる!! と堂々と自分の力を教えてしまっている始末。


何が何だかわからないまま実質の大将戦である試合は始まりを迎えた。



相手選手は試合開始と伴におぼつかなかった足で流れるように幽助くんの周りを移動しすかさず腹に重い拳を打ち込み、その衝撃で飛んでいった幽助くんに素早く追いて幽助くんをリングに叩きつける。

反撃に出ても相手の素早い蹴りで幽助くんは場外へ飛ばされ壁に激突した。

場外でカウントを取られるなか、パラパラと破片が落ちるとそこから勢いよく幽助くんが飛び出してリングに戻ってきた

「よっしゃ!幽助、行ったれーー!! 」

それを見て興奮した螢子ちゃんが夢中で叫ぶと静流さんから苦笑いを受け、大人しく席についた。

すると幽助くんは指先に霊気を集めあさっての方向に放った
きっとあれが玄海さんやぼたんさんが言ってた"霊丸"だ。
身体の霊気を指先に集めてそれを放つ技。その威力は凄まじく会場の屋根の一部が粉々に砕けてしまった。

「す、すごい……あんな威力を持ってるなんて……」

それを見て相手選手は気を良くしたのか大きく口を開けて笑うと、腰につけているポーチから何か取り出し口に運ぶ



すると相手選手の妖力がどんどん上がっていき遂に…………









「おえぇぇえ〜」

……吐いた。



暫くして吐き終えたのか彼はゆっくり立ち上がり、幽助くんを振り返る。
彼の気は先程までのものとは違い、不思議な妖気に満ち溢れている


《これは奇っ怪 自らのわた菓子にも似た妖気を使い、なにやら飴細工の様に物体を作り始めましたァ!! 》
審判兼実況のアナウンス通り彼は自分の妖気でエネルギーの塊を作りあげると幽助くんを誘うようにリングを走る。

対面しながら同じスピードで幽助くんも走ると相手選手は妖気で作ったエネルギー球を投げると幽助くんも霊丸で相殺する。

すぐにお互い殴り合いを始め幽助くんが後ろへ飛ばされると、一瞬の隙をついて相手選手はさっきの比じゃないほど大きいエネルギーの塊を作り出し投げつけた!

「危ないっ!! 」
「幽助ッ!! 」


でも幽助くんは無理な体制で会場の屋根を粉々にする程威力のある霊丸をなんと2発。連射した。
霊丸は相手選手のエネルギー球を突き抜けるもどちらも威力が落ちること無く、ふたりのエネルギー球は威力をそのままに両方に当たった。

ふたりは上に飛び少しでも衝撃から逃げ、リングに降り立つと満身創痍と言った感じで肩で息をしている





そして何故かお互いを見て笑っている……

《わ、わらっています 血だらけで……まさにバトルマニアもう私の理解をこえています…》

審判も引き気味になるほど今の状況は異様なもので、私も審判の言葉につい頷いてしまう



霊気と妖気。お互い力を使い果たして勝負にどう決着をつけるのか見ていると相手選手はナイフを2本取り出してリングに突き刺した





「……まだ、戦うんですか…?」

隣で螢子ちゃんが不安げに漏らす声に静流さんがタバコをふかす

「そりゃそうでしょ。勝負がついてないんだから」

「あれだけ戦ったんだからもう引き分けでいいじゃないですか!! もう十分じゃないですか!! 」

「螢子ちゃん……」

「……男の勝負なんだ。そういう訳にはいかないよ」

静流さんの言葉に螢子ちゃんの瞳には不安の色が濃くなる
少しでも落ち着くように肩を抱いてあげても彼女の視線は幽助くんを捉えたままだった


ナイフの前に裸足になった右足をだし踏ん張り、お互い向き合った状態になる。力を使い切った彼らはナイフで作った境界線の中で殴り合い決着を付けようとしている


そして大会本部の承諾を得るなりふたりは肉体に残った力だけで殴り合いを始めた。








「これ以上やったら、幽助死んじゃう!! 」

1度死んだんだし……と静流さんの失言に螢子ちゃんが叱咤すると立ち上がって会場の外へ走っていってしまった

「螢子ちゃん!待って、危ないっ…!! 」

途中つまづいた私は静流さんの後に続いて螢子ちゃんを追ったけど、会場は広く通路も複雑で見事にふたりを見失ってしまった

「螢子ちゃん、静流さん……」

通路には誰もいなかったけど雰囲気が不気味でひとりでいたくなかった


角を曲がると少し遠くに長髪の男と身長の高いサングラスの男がいて、螢子ちゃん達が通ってないか聞こうと思い踏み出したが、その瞬間…感じた強い妖気に身体が震えた


( なにこれ……足が、動かない……)

目には見えない一線に、踏み込んではいけない、危険だ。と本能が告げている。


視界が歪むほどゾッとするような妖気を受けてこれ以上居れない


心臓の音がいやに大きく聞こえてくる頃、会場に響く声にハッとしてそのままゆっくりと踵を返し、なるべく静かに 私はその場を後にした
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