アスター

□次鋒、中堅戦
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《次鋒 蔵馬VS呂屠 始め!! 》



審判の声で会場は一気に活気づく。

リングのふたりを見れば何を言っているかはわからないけど相手選手が余裕そうに笑っているのが見えた

「あの長髪のコ、普通の人間じゃないわね」

「え!? 静流さんわかるの? 」

「まあね。それに僉子ちゃんと会った時と同じ感じがする。どうなの?」

静流さんはとても霊感が強い人で、私が普通の人間じゃない事は初めて会った時にすぐバレてしまった。
それでも気味悪がったりしないのは彼女の人柄なのか慣れなのかはわからないけど仲良くしてくれたのは凄く嬉しかった

静流さんの質問に頷くと、事情を知らない螢子ちゃんは私と静流さんを見て混乱していたけどそれは後で話そうと試合へと意識を戻す


すると相手選手が自身の手を大きなカマみたいに変形させて蔵馬さんに襲いかかった。

でもそれを余裕で避ける蔵馬さんを見て戦い慣れているのがすぐ分かった。桑原くんみたいに体当たりの攻撃ではなく全ての動きに余裕がある。

そして遂に相手選手の後ろに回って止めを刺そうと蔵馬さんが手を出した瞬間。
余裕のあった蔵馬さんの動きは鈍り、相手選手から距離をとってしまった

「え!? 」

「なんで、離れちゃったのかしら? 」

幽助くん達を見れば彼らも蔵馬さんの行動に驚いている

相手選手が何か喋ると相手との距離をそのままに蔵馬さんは攻撃の態勢を崩して腕を後ろに回し、まるっきりの無防備な状態になってしまった

そんな彼を相手選手はお構い無しに殴り、顔を切りつけた

「いっ……! 」

見ている方が彼の痛みを想像して目を閉じてしまう。けど蔵馬さんはその場から微動だにしない




しかし次に相手選手が喋り始めると、蔵馬さんは今まで後ろで組んでいた腕を解いて服についた汚れを手で払う


その様子を見て相手選手は何かスイッチのようなものを掲げると、途端に動かなくなってしまった。先程とはお互い逆の立場になり会場中に疑問符が飛ぶ



会場の歓声が止むと相手選手も酷く焦ったような命乞いが聞こえてきた。でもその命乞いも虚しく次の瞬間蔵馬さんの放った言葉で身体から無数の植物の芽が吹き出しキレイな花を咲かせて相手選手はその場に倒れた。



彼の言い放った言葉は小さく静かなものだったけど心臓が凍るかと思うほど非情で、冷たく会場に響いていた…




《浦飯チーム蔵馬の逆転勝利!!
これで1対1の5分となりました!! 》





試合に勝った事を宣言されると蔵馬さんはリングを降りて自分のチームに戻る

その時の目は試合開始前の目とは違い優しいものに変わっていた。


穏和な部分と非情な部分、両方を併せ持つ彼は境遇こそ似ていても私とは全く違う。

……素性を話してくれたとはいえ彼についてよく知らない。私は彼の持つ闘うための力があることがただただ羨ましかった


「…………」

「僉子さん?どうしたの?」

ボーッと考え混んでいる私を心配して螢子ちゃんは自分より少し背の高い私を見上げていた

「あ……ううん!大丈夫…… 」

「そう?あ、次の試合始まっちゃいますよ!」

中堅戦、相手選手は妖怪側からとても人気があるらしく出てきた瞬間とてつもない歓声が響く。


対する幽助くん達のチームでは背の小さい男の子がリングに上がった。
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