アスター

□間話
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自分と同じ境遇の少女。
なんて奇妙な巡り合わせなのか



さっきまで散々泣いた彼女は元々かなり疲れきっていた為か今は静かに寝息を立てている


起こさないようベッドに寝かせ部屋を出ると桑原君がソファーに座り息をついていた

「いや〜!んにしても、妙な胸騒ぎがすると思ってお前んとこ来てみたら知らねー女の子がいるわぼたんちゃんや蔵馬は揃ってるわで何事かと思ったぜ」

「あの子…とても辛かっただろうね…」

「ちくしょう!!あの妖怪もっと殴ってやりゃよかったぜ……」

幽助は尚も悔しそうに眉間にシワを寄せている

「キミまで落ち込むことはないよ。むしろキミは彼女の苦しみを絶ってくれた恩人だろ」

幽助に慰めの意味をも含めて言うと「それはオメェもだろうが」と返される。よかった、思った程気落ちはしてないみたいだ。

「でもよぅ、あの子これからどうすんだ?」

「……直接人間を殺してないにせよ、協力してた事は事実だからね…多分処罰は受けることになる」

「そんなのってあんまりじゃねぇか!」

「桑ちゃん!シーッ!!僉子ちゃんが起きちゃうだろっ!?」


興奮して立ち上がる桑原君をぼたんがどうどうと静める

「…でも、あたしも桑ちゃんと同じ気持ちだよ。なんで僉子ちゃんがあんなに苦しまなきゃならないんだい?僉子ちゃんは悪くないのに、全部あの妖怪達のせいなのにッ!」

ぼたんは涙を拭うとチーン!と勢いよく鼻をかんだ

「コエンマに言ってなんとかならねーのか?」

「こればっかりはあたしからは何とも言えないよ……」

するとどこからか通知音が聞こえてくる
それはぼたんが霊界から持ってきたトランクのような形をした霊界テレビから発せられていた

「…コエンマ様からだわ」

ぼたんが手早くトランクを開けるとおしゃぶりを付けた赤ん坊が映し出された

「ぼたんか。実は……なんだその顔は」

「ずびっ…こ、コエンマ様ぁ〜!僉子ちゃんは何にも悪くないんです!! だから、だから〜!!」

「だぁ!!なんだなんだ落ち着いて話せ!!!」

ぼたんが泣きじゃくって話にならないと踏んだのか幽助がぼたんを押しのけコエンマに事件の真相を説明した




「うむ、そうだったか…僉子はさぞ辛かっただろうな……」

「だからよ、お前の力で……その、なんとかなんねぇのか?」

「ん?なんとかって何がだ?」

どこから出てきたのかコエンマはお茶を啜りながら幽助が一応選んで言ったであろう言葉の裏を察することなく、とぼけたように聞き返す。

「このクソガキ!! ふざけてんじゃねぇぞ!!」

壊す勢いで画面に掴みかかる幽助をぼたんが「そんなにしたらこわれちまうよ!」と止めるが何ら意味がない

「だからアイツを助ける道は無いのかって言ってんだよこのトンチキ!!」

「落ち着け。


助けるも何もその僉子とやらを裁くことはできない。」



「!?」

「なっ…どういうことなんだよ!?」

コエンマの発言に全員が驚き幽助も画面を掴んでいた手を離した

「その事で連絡したのだ。僉子に確認したいことがある。」

「彼女はいま眠っています。もう少し休ませてあげてくれませんか」

きっと起こしたところですぐには起きてこれない、そう思っているとコエンマは少し唸って3時間後にまた連絡するとだけ言って通信が切れた

「コエンマの野郎気になること言い残して行きやがって……なんなんだ、たくっ!! 」

「あの子を裁くことができないって……どういう事なんだろうね?それに3時間後ってそんなに急ぎなのかね?」

「オレも気になるけど、3時間後にはわかるんだ。それまで待つしかないさ」

「蔵馬の言う通りだぜ! 今はじたばたしても仕方ねぇ、ちっと休憩しようぜ」


各々が約束の3時間を待つ間、彼女の手の傷が開いてたことを思い出したオレは薬草を調合して塗り薬を作った



彼女のもとへ行くと部屋に静かに寝息が響いていた

近くにあった椅子をベッドのすぐ横に移動し腰掛ける

手を見ると傷口の周りには乾いた血が付いていて、それを除くと痛々しく開く赤色。
薬を塗れば多少なりと染みて起きるだろうかと思ったが彼女はよっぽど深い眠りについているのか軽く身をよじっただけで起きることはなかった。

「ん……」

薬を塗り終え包帯を巻いていると、寝返りを打ちたいのか頭だけこちらに傾けている
横を向いたときに顔にかかった髪を耳にかけてやると端正な顔立ちが覗いた


涙のあとが残る頬を指でなでてオレは部屋を出た
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