アスター

□懺悔
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__手を握るってどんな感触なんだろう……もし、もしも願いが叶うなら……








____人間になりたい……











「ん……」


夢が途切れ 目を覚ますと、まず最初に見知らぬ天井が目に入った。


「……?……、……痛っ!!」


手を動かすと走る痛みにやっと脳みそが活動し始め、そこで初めて自分は今ベッドに寝かされているんだとわかった。



(ベッド……だれの?)



「!」

気づいた瞬間身体はベッドから飛び出していたが全身に響く鈍痛に耐えきれず床に倒れ込んだ

「あっ…ぁ…!!」


痛みに悶えているとこちらに近づく足音が聞こえ誰かが部屋に入ってきた


「ど、どうしたんだい!?」

そこには綺麗な空色の髪を1本に束ねた活気のありそうな女の人が驚いた様子で立っていた

「あ…あなたっ……」

「ダメだよ動いちゃ!全身アザだらけなんだよ!?骨は折れてないから良かったけどしばらく安静にしなきゃ。」

彼女は気を使ってゆっくり身体を起こしてくれた所で治療を施されたであろう手と自分が着ていたものとは異なる服が目に入った。

「ここは……?なんで…」

「ここは幽助の家!あんた覚えてないのかい?昨日妖怪に傷つけられた人間をあんたが助けて倒れたんだよ」

"妖怪"という言葉に記憶が一気に蘇った。

「あの人はっ!? 妖怪達は!?」

「ちょ、動いちゃダメだってば!
あの妖怪達なら幽助と蔵馬がやっつけちまったよ!人間たちも怪我はあんたが治したけど、一応病院の前に置いてきたから問題ないよ。」


ちょっと待ってね今呼んでくるから!そう言うと彼女は急ぎ足で部屋を出ていった


「…………」


ひとりになった部屋で記憶を思い起こす

昨日彼女と一緒にいた2人の男の子、彼女が言ってた"ゆうすけ"と"くらま"という名前らしい。

確かあの時、小妖怪は私が仲間で私を殺す代わり見逃してほしいと命乞いをしていた。なのに今 私は手当されている………


あの妖怪達を簡単に倒したふたりなら、私なんて簡単に殺せるだろうに



(……殺されて、当然なのに)



「!!」

対して時間もかからず再び聞こえる複数の足音に身を固くする


「おまたせ!」

さっきの女の人が扉から顔をひょっこり覗かせた後3人の男の人が部屋に足を踏み入れる。うち2人は記憶に新しい人物だ


「おう! 目ぇ覚ましたか! 」

「よかった、気分は悪くないですか?」


元気に歯を見せながら笑うリーゼントの少年に赤髪の少年が穏やかな物言いでつづく
警戒して声が出せないでいると最後に部屋に入った長身で厳つい顔の男の子が私の顔を覗き込もうと前のめりになる

「なんだ口がきけねぇのか?」

「あ…」

「ちょーっとちょっと! 桑ちゃん! この子は今起きたばっかりなんだよ!? 怖がらせるんじゃないよ!」

「ぼ、ぼたんちゃん? 俺がいつその子を怖がらせたのかなぁ〜? 」


"ぼたん"とよばれた女の人は私と厳つい人の間に立っては口論している

状況がまったくわからず内心狼狽えていると察したのか赤髪の男の人が「怖がらなくて大丈夫ですよ。彼、見た目によらず優しいので」と笑顔でいうと厳つい人は今度は赤髪の男の人に突っかかった


「そんな事より!桑ちゃん この子をベッドに戻しておくれよ」


"桑ちゃん"と呼ばれた厳つい人は軽く返事をすると私をベッドの上に戻そうと伸ばす彼の腕は、私が床に頭を付けた事で空をさまよう事になった


「 ごめんなさい!! 」

床に頭をつけ、痛む掌で拳をつくると塞がりかけていた傷がパキリと音を立てて開くのを感じた


「お、おいおいどうしたってんだ急に……」

「今回の事件、私のせいなんです!!
どんなに謝っても償いきれないこともわかっています……!


どうか、私を殺してくださいっ……!!」


丁寧に包帯の巻かれた手に涙が次々落ちていく。罪悪感に押しつぶされそうになりながら謝罪する私の声は自分でも弱々しくそれがかえって涙腺を緩ませてしまう。


いつまでも頭を上げることなく背中を揺らす私にさっきの女の人の声が降ってきた


「ちょいと! あ、頭上げとくれよ!」

「殺してくれって…一体どういうことだよ」

「……わけを話してくれないか」


慌てる3人をよそに赤髪の少年が右手で彼らを制し冷静な口調で述べるのを聞いて私もゆっくり重い頭を上げた




驚いている彼らにを視界に入れると 小さく息を吸った。










「……私の名前は、笠原僉子……妖怪です」
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