アスター

□すべてのはじまり
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「おいコエンマ!朝っぱらから呼び出しやがってどーいうつもりなんだ!?」


今日も今日とて忙しい霊界に響く声は一見不良のような出で立ちだが、特殊な経験をし今では霊界探偵として活躍する浦飯幽助のものだ


「だあ!やっかましいわ!!耳元で大きい声を出すんじゃない!」


それに負けじと大きな声で怒鳴りつける彼の上司にあたる閻魔大王の息子であるコエンマは眉間にシワを寄せたままイスに座り直し腕を組む

「今日呼び出したのは他でもない。霊界探偵としてお前に任務を与える!」


「はぁ?任務って…昨日飛影の妹を助け出したばっかりじゃねぇか!」


彼の言う通り、彼は先日霊界探偵の任務として人間に囚われた妖怪の少女を助け出した。

その際闘いで負ったダメージを回復しようと平日だというのに家でぐうすか寝ている所をコエンマの部下であるぼたんにたたき起こされ今に至る。


「……確かに戸愚呂を倒し、雪菜を助け出したお前達には体と霊力の回復に務めてほしいところではあるが、そうもいかないんだ。」

そういうと今まで目を通していた書類を幽助の前に差し出した

「……連続不審死?」

差し出された資料を見ていかにも意味がわからないと言った表情をする彼を横目にコエンマは頬杖をつく

「ああ、一見よくある人間による事件のように書かれているがこれは明らかに妖怪の犯行だ。」

そう言われ幽助は資料を読み進める

"3日連続T地区にて死体が見つかる"

"川岸に高校生2名が倒れているところを通勤途中の男性が発見うちひとりは死亡"

"不可解にも死亡者の身体は無傷。意識を取り戻した被害者は何者かに襲われたと話し、恐怖からか妄想的な発言もみられている……"

「確かに怪しいけどよ……でもなんでこれが妖怪の仕業だってわかんだよ?」

顎に手をやり考える幽助にコエンマは真剣な面持ちで椅子を降りた

「そこには伏せてあるが、襲われた者の証言として"人間とは思えない巨体が襲いかかってきた"と言っているらしい」

コエンマは幽助の前まで腕を組み歩くと幽助を指差しぴたっと止まった。

「朱雀との一件があったのも記憶に新しい今、妖怪がこれ以上人間に危害を加えることは人間界に混乱を招く。これは霊界としても見逃すわけには行かん。」
















「いや〜さすが霊界探偵サマは引っ張りだこだわね〜!」

「うるせぇ!すきでやってんじゃねーよ!!」

(ったく、何が回復に務めてほしいだ。結局こき使ってんじゃねーか!)

霊界を後にした幽助はぼたんと共に渋々コエンマに指示された所へ足を向けていた

時刻は夕方18時。日もだんだん傾いてきてチラホラ下校途中の学生ともすれ違う

コエンマは事件はT地区で起こっていること、そして一番最近被害にあった場所の近くは警戒しているだろうというからそこから少し距離のある場所が怪しいと踏んでいた。
指定された場所の近くには学校がある。盟王高等高校だ。

ここには幽助のよく知る相手も通っている。彼の耳にも今回の事件の事は入ってきているはずだ。もし既に調べてを進めているなら何か解決の糸口が見つかるかもしれないと踏んで一先ず彼を訪ねる事にした。


「ンにしてもよーほんとに今回の事件。妖怪の仕業なのか?」

「どういうことだい?」


だるそうに頭の後ろで手を組む幽助に向き合ってぼたんが疑問符を頭に浮かべていると「だってよー」と歩きながら幽助は続ける


「だって死んだ奴は無傷だったんだろ?妖怪が相手ならグズグズにされてもおかしくねぇだろうし、魂だけ食っちまうなら尚更 死体なんかあったら面倒だろ?足がついちまう」

「たしかにね。でも巨体が襲ってきたって証言はどうなんだい?それに3日も続いてるなんておかしいじゃないのさ! 」

「だあああ!!!そんなん俺が知るか!」
「幽助が言ったんじゃないの!」


「……ふたりとも、ここで何してるんですか?」





あーでもないこーでもないと言っているうちに目的地までついていたらしく幽助たちの言い争いを、下校途中の生徒達が好奇の目で見ていた

そんな幽助達に声をかけたのは端正な顔立ちに赤髪を靡かせる少年。正しく幽助達にが探していた人物だ。


「蔵馬!! 」

「ちょ!しっ!」



蔵馬が慌てて口元に人差し指をたてると周りの生徒が口々に「くらま?なんだそりゃ」「あだ名とか?」と疑問符を並べている


「(困りますよ。ここでの俺は南野秀一!)」

「(あっそうか悪ぃ悪ぃ)」

幽助の耳にこそこそと耳打ちすると蔵馬は貼り付けた笑顔を浮かべて「やだなぁそれはゲームの中での名前じゃないか」なんて態とらしく笑いながら言うと「なんだプレイヤー名か」「南野くんってゲームするんだ〜意外〜」と周りの生徒たちもそれぞれ帰路につき始めた

「いや悪ぃな」

「ホントに頼みますよ……それより何か用があったんじゃないんですか?」

蔵馬の言葉に頷いて、場所を移して近くの公園で幽助は今回の任務について説明した






「……実はオレも気になって調べていたんです」

「さっすが蔵馬だね〜!で、何かわかったのかい?」


嬉々として聞くぼたんに蔵馬は「それがあまり…」と少し申し訳無さそうに微笑むとぼたんは先ほどまでの笑顔が消えがっくりと肩を落とした


「……あまり、っつーことは何かは知ってんだろ?教えてくれよ」

「ああ、実は事件が起きた場所に行ってみたが……そこでかなり強い妖気を感じたんだ」

"妖気"という言葉に幽助とぼたんは緊張をはしらせる

「ってことはやっぱり妖怪の仕業で確定か…」

「他に複数の妖気も現場には漂っていたからね。そう考えるのが妥当だろう」

コクリと蔵馬が頷くとぼたんが腕を組み唸る

「強い妖怪がそんなにいるなんて……こりゃコエンマ様も予想してなかったことさね。流石に幽助でもキツいんじゃないかい?」

「っざけんな!このオレが負けるとでも思ってんのか!」


コントのようにじゃれるふたりを他所に、蔵馬は「いや、」と少々考える素振りを見せ口を開いた

「…恐らく、強いとしてもそれは1匹だけでしょう」

「なんでそんなことわかんだよ」

いつの間にか夕日が沈み街頭の光が幽助達を照らした

「その帰りに遭遇したんですよ。まさにその事件に」

「えぇ!?」
「なんだって!?」

「まぁ正確には犯行後の現場に居合わせたんだ。事件現場から帰ろうとしたとき、近くで強い妖気を感じてオレはすぐにその妖気を辿った。不思議な事にその妖気はまるで点滅するみたいにすぐに消えては放つを繰り返していて…
オレが着いた頃には強い妖気とは別の複数の妖気が漂っていて、被害者の人間だけが残されていた」

それも無傷の姿で。と言う蔵馬に幽助とぼたんは腕を組み唸る


「聞けば聞くほど分からなくなってくるねぇ…」

「何よりわからないのは血痕があるのに被害者がなぜ無傷なのかってことですよ。まるで……」

蔵馬が続けるはずの言葉は思いがけない声で掻き消された
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