BLUE.BLUE.BLUE for Rina Matsuno

□メリーゴーランド
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命より大切な君がいなくなったのに

、街はいつもの喧騒に包まれている。

君を知らない人々には、いつも通りの毎日が、日々が始まっただけなのだろう。
いつも通り朝昼夜と時は刻まれ、進んで行く。

季節は春夏秋冬を繰返し廻る。

メリーゴーランドのように。

春は誕生の季節。花々は咲き乱れ、新緑の木々や草花は繁茂し生い茂る。

でも、新たな季節が始まるのに、あの場所に君の姿がない。見えないんだ。

君が何よりも愛している、大好きな人々は変わらずにいてそこで微笑んでいるのに。

僕は君という何よりも淡く儚く、美しい花を無我夢中で探し続けた。

しかし、どこにも咲いていない。見つからないんだ。


探していた君という花は既に枯れてしまった現実を突き付けられた。

君が春夏秋冬問わず狂い咲く姿を見て来たのに、枯れない美しい花だと信じていたのに。

あの日から僕の瞳には、君の幻が、陽炎が、蜃気楼しか映らなくなった。


木漏れ日がどんなに光を射し込もうとも、君以外の景色は霞んで霧に包まれているからだ。





君のいない世界で生き続けなければならない現実に、僕は耐えられる自信がない。



この悲しみ、苦しみ、虚しさが消えることはないだろうから。

君がいなくなったこの世界には、まだ他に可憐で綺麗な花が咲いているかもしれない。







でも、君じゃなきゃダメなんだよ。
君以外考えられないんだ。
この喪失感はそう簡単には癒えない。
降りしきる雨でさえも。


この幾千の雨粒は、空になって僕を見守り続けている君が嘆き悲しんでいる涙なのだろうか。

俯きながら君の涙に打たれ続けた僕の心に、自分のせいで悲しんでいると君に悲しんで欲しくない思いが湧いてきた。

君を悲しませないために僕は生きよう。君を片時だって絶対に忘れない。君に生きる希望をもらったから。暗雲の立ち込めた僕の心に光を射し込んでくれるのは、やはり君だから。

今はまだ君に会えないかもしれない。
でも、時や季節と共に命も廻り巡るんだ。

僕は信じよう。新たな種に生まれ変わった君の命が宿り、いつかまた君に巡り会えることを。

それは砂漠に落ちた一本の針を探し出すこと、大海の水をコップで掬い空にすることほど難しいかもしれない。

でも、僕は必ず君という花を探し、見つけ出すんだ。


今までもこれからだって時も季節も変わらずに繰返してきたなら、命も同じなんだ。

君という新たな美しい花はきっと咲く。

今こそ、君に永遠の愛を誓おう。

爛漫な春でも、焼け付くような夏でも、枯れゆく秋でも、凍えそうな冬でも。

僕は君をいつまでも待ち続けるから。
 

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