ハンター試験編

□目は口ほどに物をいわない
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ナマエは、最終試験の会場であるホテルで、最終試験の開始を待っていた。既にホテルの広間には受験生全員が集められている。
ナマエは周りを見回して目を細めた。
一次試験では400人以上いた受験生も、いまや残っているのは10人のみだ。その中に、一次試験で知りあったゴン、レオリオ、クラピカがいることを、ナマエは嬉しく思った。

「諸君、待たせたのう」

布で隠されたボードを引っ張って、悠然とネテロがやってきた。

「最終試験じゃが、一対一のトーナメント形式で行う」

ボードから布が外された。
その場に動揺が走る。
ボードには、奇妙なトーナメント表が貼られていた。最下部には受験生の写真があり、それぞれ一番上に行くまでの試合数が異なるつくりになっている。

「最終試験は、一回でも勝てたら合格になる。このトーナメントは勝った者は次々と抜けていき、負けた者が上へと繰り上がっていく仕組みじゃ。つまり、不合格者はトーナメントの一番上に到達した、ただ1人というわけじゃ」

ナマエの一回戦の対戦相手は、キルアだった。
まじか。
ナマエはキルアを見ると、ばちっと目が合った。困ったように笑うと、キルアは目を細めてにやりと口角を吊りあげた。どうやら楽しみにされているらしい。
イルミの視線が後ろから突き刺さった。殺気こそ飛ばしてはいないが、後頭部に穴が開きそうなほど見つめられている。相変わらず過保護な兄だ。そんなに釘を刺さなくとも、私はキルアを指一本分解するつもりはない。

「トーナメントが不規則な形をしているのは、今までの試験で優秀な成績を収めたものに、より多く試合のチャンスが与えられているためである」

キルアがピクリと反応した。ネテロを睨んで食って掛かる。

「納得いかないね。詳しい審査基準を教えてよ」

ゴンとハンゾーの試合ができるチャンスは5回で、受験生の中で最も多かった。
ちなみに、キルアとナマエは4回だ。
ナマエは前にいるツンツン頭と、それよりさらに前にいる光り輝く脳天に注目した。
ネテロはキルアに問い詰められて、審査基準が身体能力、精神能力、印象値の3つからなると明かした。印象値とは、ハンターになる素質のことである。
そこまで聞いて、ナマエは肩をすくめた。確かにゴンは、ハンターになる素質ならここにいる受験生の誰よりも優っている。忍者の方はよくわからないが、ネテロがそう判断したなら実際にそうなのだろう。少なくとも、クロロに言われたから資格をとりに来ている自分よりは、能動的な理由でハンターになりたいと望んでいるはずだ。
キルアはまだ顔を顰めていたが、黙ってネテロの話を聞いていた。

「戦い方はいたってシンプルじゃ。相手に参ったといわせたほうが勝ち」

そこで会長は一端言葉を切り、片眉を吊り上げた。

「ただあし!相手を死に至らしめた者は即失格。試験は終了し、その時点で、残りの者が合格じゃ。よいな!」

ナマエは口に弧を描いた。
なるほど。それはただの殺し合いよりよっぽどおもしろそうだ。先ほどの心配は杞憂だっただろうと、イルミに目を向けると、彼はもう真っ直ぐネテロを見ていた。
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