ハンター試験編

□ほんとうのターゲット
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ナマエは、トリックタワーからでた地上の上で、初めてリッポーの顔を目にしていた。久しぶりの太陽が目に痛い。三次試験中に何度か声をきいていたリッポーはなんとモヒカンだった。

四次試験の内容は「狩る者と狩られる者」だとリッポーは口にした。この四次試験を通過すれば、残るは最終試験のみらしい。

「それでは、三次試験を通過した順にくじを引いてもらう。まず一番」

ヒソカに続いて、ナマエも前に出た。途中で、ゴンとレオリオとクラピカは呆気にとられた顔をしていたが、キルアだけうらめしそうにこちらを見ていた。ナマエは、何も考えず言われた通りにくじをひいた。カードには80とかかれていた。
全員がくじを引き終えた頃、再びリッポーが説明を始めた。

「そこにかかれている番号が、諸君のターゲットだ。そして奪うのは、ターゲットのナンバープレートだ」

その場に動揺が走った。すぐさまみな自身のプレートを隠し始めた。
ナマエは、自身のプレートを特に気にした様子はなかったが、カードを見たまましばし固まった。80という番号の持ち主に全く心当たりがなかったからだ。
自分のターゲットとなるナンバープレートは3点、自身のナンバープレートも3点、それ以外は1点で、合計6点以上のナンバープレートを試験終了時に持っていれば、試験を通過できるらしい。
つまりターゲットのプレートを持っていなくても通過はできる。ナマエは胸をなで下ろした。


一行は、船にのって四次試験会場であるゼビル島に赴いていた。

「おい、ナマエ。ゴンみなかったか?」
「ん、見てないよ」

二人でゴンを探していると、ゴンが一人で甲板の隅に座っているところを見つけた。その隣にキルアと並んで腰を下ろした。

「よう。お前、何番だったんだ?」
「キルアとナマエは?」
「ヒミツ」
「じゃあ、私も秘密にする」

暫しの沈黙が流れて、三人同時に吹き出した。

「せーのでみせっこしようよ。せーのっ!」

パッとカードを出すと、キルアは199番で、なんとゴンは44番だった。

「ゴ、ン」
「お前44番って・・・くじ運ねえなあ」
「あはは、やっぱりー?」

ただでさえ、既にヒソカに目をつけられてるというのに、そのヒソカがターゲットとは。
えへへ、と頭をかくゴンに、ナマエは同情心でいっぱいになった。

「80番と199番って、誰だっけ?」
「それが全く記憶にないんだよね」
「やっぱり?俺もわかんねーんだよな」

「そういえば、ナマエってヒソカと仲いいの?時々二人で話してるよね」
「あ、それ俺も気になってた。三次試験終わったときも一緒にいたよな」
「いや、単に三次試験はヒソカがパートナーだっただけだよ。それよりも───」

ずい、と顔をゴンに向ける。急に視線を向けられて、ゴンは目をぱちくりさせた。

「ゴン。私、できることならあなたの力になりたいわ。でも───」

「いいよ。オレ、自分で何とかしたい」

そういって顔をあげて、宙を見つめるゴンは、子供が初めてバンジージャンプに挑戦する時のような顔をしていた。小さい肩がが小刻みに震えている。
なんということだ。この少年はこの状況を楽しんでいる。あまりの純粋さに見ていて眩しいくらいだ。

「そっか。頑張ってね。二人とも、ちゃんと最終試験にきなさいよ」
「うん!」
「お前もな!」



ナマエを乗せた船は、ゆっくりとゼビル島の海岸に停泊した。
四次試験は、三次試験のクリアタイムが速い順に、2分ごとにスタートを切る。開催期間は一週間で、その間に6点分のプレートを集めて、再び船に戻ってこなければならない。試験中の支援物資は一切なく、衣食住は自分で確保するしかない。
ヒソカは島に入る前にちらっとこちらを見た。すぐに視線を逸らし、空中に念で文字を描く。
『一緒にくるかい?』
ナマエは小さく首を振った。ヒソカは肩をすくめると、ゆっくりと島の奥に歩いていった。
きっかり2分後、ナマエはヒソカに続いて、ゼビル島に降り立った。


さあ、一週間のサバイバル生活が始まった。
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