長編夢
□#6 危
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#6 危
「随分楽しそうだね、チビちゃん」
ニコりゆめに微笑む及川。
だが、あきらかにイラ立ちのオーラを放っていた。
日向をむぎゅっとしながら固まるゆめ。
「な、なんで及川さんがここに?!」
サラツヤが狐につままれたように及川を見る。
「ハっ!相変わらずクソムカつく顔だね飛雄チャン。
なんでって、クソ可愛いお前らを叩き潰したいからに決まってんじゃん」
そう言いながら、真っ直ぐゆめと日向に近づく。
「で、また会ったけどチビちゃん」
ポンっとゆめの頭に手を乗せ、ニコりとする。
その威圧感に蒼ざめるゆめと日向。
「なんてことしてくれてるのかな」
「「ひ!」」
刹那
ーーぐいっ
「!!」
勢いよく日向の襟元を掴み引き剥がす。
そのまま宙に浮かぶ日向。
その反動で前のめりになるゆめ。
まるで猫でも掴むように片手で日向を持ち上げ
そのままポイっと放り投げる。
「うわあ!!」
前のめりでバランスを崩したゆめはそのまま目の前の及川の懐に吸い込まれた。
投げ出された日向は
それこそ猫のように反転して
その恐ろしいまでの運動能力で綺麗に着地した。
「っチ」
それを見て舌打する及川。
あまりの恐ろしさに周りは唖然とするしかなかった。
「そこのおチビちゃんも相変わらずクソムカつく身体能力だね。まあ、いいや」
吸い込まれたゆめの頭を少し強引に自分の胸に押しつける。
く、くるしい、、、
なんだろう、この光景。
男が男を抱きしめている。
男が男に抱きしめられている。
異常な光景。
一体周りにはどう見えているのだろうか。
だが、ゆめには周りの様子を伺うことが出来ない。
キッと日向と飛男と呼んだサラツヤを睨みつける及川。
「叩くなら折れるまで、てね」
冷たい視線。
そのまま、その周りにいる全員を一瞥した後、
「行くよ」
強引にゆめを引っ張って行った。