長編夢

□#4 救
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#4 救

危険人物に捕獲されてから約10分。
まあ、生きた心地がしないわけで、
てか、まだ10分しか経ってないの?!

「はあー、、、」

「ん?どうしたのため息ついて」

ニコニコしながらきいてくるイケメン君。

くそ
お前のせいだろうがっ!

なんて口が裂けても言えなくて

「ひっ、、、いえ、なんでも、すみません!」

「顔色悪いよ〜」

更に追い討ち。

ちきしょー
わかってやってんだろっ
うわぁーんたすけてよー救世主様ー

「おい!」

「ん」

「!!」

救世主様っ!!
と振り返ったその先には、

目も髪もツンツンの男。

「っておま、なに拉致ってんだよっ!」

「岩ちゃん?!」

「クソ及川ッ!こんないたいけな子供ッ
、、、こども?」

慌てて駆け込み覗き込んだ顔を見て
首をかしげる

そうだろうとも
わたしは子供じゃねえ!!

「二十歳じゃボケっ!!」

ーースパーンっ

「ってー!!」

「すまん。つい反射的に」

初対面なのに叩かれた
なんなんだよもう、、散々だよ、、、

うう
ちょち泣きそう

悪い悪い
と振り払った手で頭を掻く一応救世主様。

「岩ちゃんも参加するの?」

イケメン君が少しだけテンション高めに投げかける
ってかこの人及川って名前だったのか、、、

「おう!ったりめーだ!」

「岩ちゃんやる気満々だね〜♪」

「まーな」

ニカッと爽やかに笑う救世主様
いや、岩ちゃん

ほけっと見ていたら

パチクリ
目があった

「つーか、及川」

「ん?」

「誰だそいつ?」

「ふふん♪」

げ、
なんか嫌な予感が、、

「迷子の記憶喪失者だよ」

ね、と得意の低音ボイスでこちらを覗き込む

「なんじゃそら」
怪訝そうな表情。
あきらかに腑に落ちない顔をしている。

そらそーだ
誰だってそう思うし
それが普通の人の反応だろうよ岩ちゃん

「まあいいじゃない♪
どっちみち向かう場所はおなじなわけだし」

「なに?こいつもバレーやんの?」

またもや怪訝そうな表情でこちらを見下ろす岩ちゃん
いろいろ突っ込みどころが満載なので
何からどう斬り込めばいいのか悩んでいる様子。

「なんつーか、、、」

最終的に彼が選んだ答えは

「まあ、頑張れよ」

、、、しゅん
匙を投げることでした。

「あはははは!!」

突然笑い出すイケメン君。

「ちょ、何そのあからさまに哀しそうな顔」

まじウケる
と涙目で腹を抱えている。

「あーもう、やっぱイイねキミ。もう堪んないね」

わたしの背中をバシバシ叩いて
これでもかってくらい笑ってくる。

まじこいつ
いい加減にしてほしい

「おい着いたぞ」
とそんな事はさて置きの岩ちゃん。

どうやらそうこうしているうちに
いつの間にか会場に着いていたらしい。

3時間前とは打って変わって
会場の周りには大勢の参加者でざわざわしていた。

「わー、想像通りいっぱいだねー」

「なに悠長なこと言ってんだ及川」

「こんなにいっぱいどうするんだろうね」

「まあ、何かしらで篩にかけるんだろうな」

「何するんだろうね」

「まあ何がきたって関係ねーけどな」

「岩ちゃんカッコいい〜♪」

「茶化すんじゃねーよクソ及川ッ」

悪態つく岩ちゃん。
その反応にニコニコのイケメン君。
でも2人の眼差は本気だ。

フッと表情を変えるイケメン君。

「ま、関係ないけど、ね」

ーーゾクッ
一瞬にして寒気が走った。
圧倒的な存在感。

まさに獲物を捕らえる獣のそれだ。

「っしゃ!気合入れていくぜ及川ッ!」
掻き立てられるように声を挙げる岩ちゃん。

初めて会ったばかりで
実力も知らない。
どんなプレイヤーなのか
どのポジションなのか
わからないけど

きっと
すごい選手なんだと確信する

「負けません!!」

「「?!」」

、、、思わず、声に出てた。

呆気にとられているふたり。
わたし自身も戸惑う

でも、

「絶対、勝ちますから!!」
改めての宣戦布告。

「面白い」
口の端をあげてニヤりと笑うイケメン君。
けれどもその目は鋭く光っていた。

「期待してるよチビちゃん」
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