長編夢

□#3 及
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#3 及

「うわああああああああんんっ」

ちきしょ
ちきしょー
ちきしょーー

くやしい
くやしい!
くやしい!!


「ふざっけんなゔぁっかやろおおおおおお!!!!」


「ちょっと」

ビクっ

「へ」

「うるさい」

そこにいたのは、
少し栗色掛かった髪の男。

俗にいう
えーっと、、、
これは、、、

そう!

イケメン君!!

「近所迷惑考えようか、ガキ」
にこっと爽やか笑顔のイケメン君

ふへ
いま、なんと

がき?
ガキっていいました?

ひえええええええええ!!?

「ごめんなさいっ!!」

「うんうん♪
そうそう、素直なのは良いことだよ」

ニコニコしている筈なのに
なんだろ、、、この威圧感、、、

こ、怖い、、、

「とりあえずさ、そっから降りてきなよ」

「ふへ」

どうやら
いつの間にか木に登っていたらしい

え?え?
あの後どーなったんだっけ??

全速で走って
ひたすら真っ直ぐいって

そして

ココハドコ??

そして結果

迷子

気づかないうちに木に登って
木の上から叫んで
はあ、、、羞恥。至極羞恥。

とりあえず言われるがままに木からおりる

じーぃぃ

なんか、すげー見られてる

恐る恐る
イケメン君へと視線をうつす

右手には本が一冊
斜陽。
あ、太宰治。

「キミさ」

「ふぇっふぁい!!」

変な声出た

「えーっと、なんでここに居るの」

含みのある言い回し
他にもなんか聞きたげなのに
敢えて言わないでみせるイケメン君。

なんだろ、、、、
すげえ、やばい気がする
直感的に。

「もしかして、バレーするの?」

答える前に言われた
なんか、もうやだよぉー

「ふーん、、、。キミさ、、、」

こわいこわいこわいこわい

「いいね」

ふぇ

「気にいった」

ふぇええ?!!!

なにこの展開!!
やーめーてー!!!
こわいこわいこわいこわい

その瞬間
私の彼への印象は
近づいてはいけない男となった。

き、危険だ
逃げよう!!

「ってことで」

−−ガバっ

「?!」

「一緒に行こうか♪」

ひいいいいいいい

逃亡失敗。
見知らぬ危険なイケメン君に連行されるはめになりました。

「そういえば、まだ聞いてなかったね」

「?」

「名前」

「いや〜、あのお、、、」

「ん?」

「わ、忘れました」

「、、、」

沈黙怖い。

ばっか
わたしばかっ

この人に通用しないのわかりきってんじゃん

あーあーもうだめだー

おかーさあーん
わたしの骨は拾ってくれよー

「わあ!」

「ひい!」

「記憶喪失。だね」

その語尾やめてえええ
いきなりトーン低くするのやめてえええ

笑ってない
目が笑ってない

これぞ言葉の脅迫

「大変だねえ記憶喪失」

「は、はい」

「いつか戻るといいね」

「、、、は、はい」

だれでもいいから
たすけてくださあああああい!!!!

開場まであと1時間−−。
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