あなたと飛雄の五十音。


□E
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『か、影山くん!!!!!』




藤崎の声がする




どうしたんだ……




目を開くと困った顔をしている藤崎がいた





「…んっ?」



寝起きの自分から発せられるマヌケな声






『あのね、今先生が黒板に書いてある問題を影山くんに当てていて……』




あぁ、


そういうことか



俺は立ち上げると黒板へと歩き出す




なんだ


俺を起こしてくれたのか




あんな可愛い顔して………





…ってあれ何考えてんだ俺




とりあえず問題はっと…



あ、


これ昨日月島がなんか言ってたヤツだ





まぁこんな感じだったような………





後ろで先生が何か言ってるのが聞こえる



でも今の俺の頭の中は藤崎のことでいっぱいで今解いている問題すら入る余地がない




書き終わり席に戻ろうとすると目をキラキラさせて待っている藤崎の顔が目に入る





「お、あってるじゃんか


よぉしオーケー!


…でも解けたからって影山また寝んなよ!!!」



あ、

合ってた


これで月島にも色々と言われないだろう…




『…すごいね!!!』



そんなにびっくりすることか…?




素直に喜べない自分がいる反面、


…褒められてうれしい自分がいることに気づく




「……昨日月島に教わった」




藤崎がなるほどっという顔をする





俺の頭の中はお前のことでいっぱいなのに………





藤崎の頭の中にいる月島がいつものあの不敵な笑みを浮かべる





……クソ!!!!






俺の視線に気づいた藤崎と目が合った




その瞬間消えていくアイツの笑み





他のヤツなんてどうでもいい



……俺のことだけを考えて欲しい






「…あ、ありがとな」




ようやく絞り出した一言




その言葉に真っ赤になる藤崎


いや、俺もか…




『い、いいえ!!!』





…今はこんなことしか言えないけど




いつか



いつかはちゃんと俺の気持ちを………




そんなことを考えていると再び眠気が襲ってくる





チッ


考え事をしすぎた





藤崎が再び授業を聞き始めたのを感じる





俺は火照った身体を抑えるように机に突っ伏す







窓から入ってくる風が気持ちいい



藤崎の髪が揺れる




その横顔に見惚れながら俺はまた夢の中へと落ちていった

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