あなたと飛雄の五十音。


□き
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今日は日向との勉強会



一応3組で成績トップの私に突然日向から声がかかった



『…勉強教えてください!!!!』



二つ返事でオーケーしてしまったけど引き受けたからには全力でやらなきゃ…!



そういえば今日は他にも誰か呼ぶって言ってたなぁ…



誰なんだろ…



そんなことを考えていたら二人目の訪問者が部屋に入ってきた



『ちわーっす』





か、影山くん…………!




驚きすぎて声が出ない




『ん?

今日は沙織もいるのか』



『そう!!!

教えてもらおうと思って俺が呼んでおいた!』



『でかした、日向』


『お前は上司か!!!!!!』




マジか……!



最近自分の中で日向と影山くんコンビの絡みを見るのがマイブームだったのに…!



その2人が一気に揃うなんて!!!



神様ありがとう…!



どこにいるかもわからない神様にとりあえず心の中で拝んでおく




『……沙織大丈夫か?』



影山くんの声で現実世界に引き戻される




「だ、大丈夫だよ!!!


さあ、勉強やるよ〜!!」



とりあえず日向の部屋にお邪魔する



やっぱりこの2人が入ると一気に部屋が狭く感じる…




『俺、飲み物取ってくる〜!!!』



「ありがと〜!」




自然とドアから一番離れたところに座る私



そして当然のように隣に座ってくる影山くん



……?!?!?!



なぜだ…!!!


私は影山くんと日向の絡みが見たいのになぜ私の隣に座る…?!?!



私の視線に気づいた彼はそっと顔を背ける



『あ、あのさ』


「…なんでしょう」



流れる沈黙



『キスしていいか』



………??????



え、

待って


なにごと?????



影山くんが????


私に?????


キス??????



「………ッ!」



冗談かと思って彼の顔に投げた視線は彼の熱を帯びた視線に捕まった



これは本気だ……




『沙織………』




……これは夢ですか?




もしこれが夢じゃないとしたら一体何なんですか…?



すっと近づいてくる彼の綺麗な顔



『ずっと気になってた


でもいつも俺からは話かけられなくて、ずっとモヤモヤしてた』



脳がキャパオーバーで悲鳴を上げている



『…でも今日は違う』



『やっと2人で話せた


だから、嬉しくて、俺………』



私の顔にまるで壊れ物を扱うようにそっと添えられる彼の綺麗な手



『…沙織、キス…していいか?』





彼から目が離せない



気付いたら頷いてしまっている自分




ふっと微笑むとゆっくりキスが落とされた




もう1回


もう1度



触れるだけのキスなのに頭の芯がしびれる





初めての感覚


初めての感情



近づいてくる足音に離れるお互いの身体


それと反してまだ唇に残っている影山くんの唇の感触



『…今度は2人でどっか行こう』


「……うん!」




『暑いからかき氷作ってきた〜!!!

…ってあれ?


2人とも顔真っ赤だけどそんなにこの部屋暑かったか〜????』



日向の登場に驚くと共に身体の火照りが冷めていないことに焦る



『……暑くねえよ、ボゲ』




『なんだぁ〜?

ま、いいけど!!!

食べようぜ〜!』



ようやく脳が通常運転を始める


でもこの火照りは当分冷めそうにない



今年の夏の初のかき氷はキスの味がした
 

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