お抱えXXX
□二
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帝国学園対雷門中の試合当日(試合後)。
予想通りといえば予想通りになった、けど……………
第2話
豪炎寺修也の『ファイアートルネード』は前から知っていた。
木戸川の偵察に行った時とか、試合観戦の時とかに打っているのを見たから。
一時的に止めているとはいえ、申し分のない威力だった。
源田には悪いけど、あの時ゴールを許していてよかったと思ったりもしている。
何でって、無駄な怪我をしなくて良かったっていうのもあるけど…………"強豪の帝国学園"から"弱小の雷門中"が1点を奪った、しかもそれで鬼道が帝国の試合放棄を告げた。
雷門は『やればできる!』みたいな感じになるだろう。多分練習もたくさんするだろう。
そうすれば…………
「円堂守の………"イナズマイレブン"のゴッドハンド…………」
本日の収穫その2を思いだし、自然と顔がにやける。
面白い…………!
「まぁ、だからってサッカー部に入れるワケじゃないけど」
ローブを着直して、フィールドの脇にあるベンチの横で直立する。
今日は総帥が練習を見る日だ。
「いっちばーん!…………じゃなかった……」
成神が走ってフィールドに飛び入った。
「早いな」
「こんちは!今日は総帥来るんですね!」
「あぁ」
ウォーミングアップをする成神を眺めていると、ばらばらと部員がフィールドに入ってきた。
「ちづる……」
「ちづる?」
鬼道が言った言葉に辺見と洞面が反応する。
「何だ」
「え、アンタの名前ちづるだったんスか!?」
成神がなんか騒いでいる。けどそれは無視。
「ねぇねぇちづるさん!」
「…………」
「ちづさんちづさんちづさんちづさん」
「連呼するな。何だ」
「ちづさんって、男?女?」
「さぁな」
成神と洞面(1年生ペア)偽名とローブを与えられた、ということは、本名その他がバレない方がいいということだろうと自己解釈。
「教えろよ〜」
佐久間が悪乗りしてくるが、無論却下。
「そんなことより、早くアップしろ。総帥がいらっしゃる前に」
「ケチぃ………」
−−−−−−−−−−
試合後とはいえいつもの倍キツいと思われる練習の後。
「練習の後に、すまんな」
「いやいや、別に平気平気!」
総帥の部屋に土門と鬼道を呼び出した。
総帥は静かに座っ……寝てるな、これ。
「それで、話って?」
「土門飛鳥、君には雷門中に行ってもらう」
「雷門中………って、今日の………」
「スパイとして送るということか」
「そうだ。情報は鬼道の携帯に随時送れ。で、鬼道はその情報を総帥と私に。嫌か?」
適任かと思ったのだか…………と言うと、やります!と返事を返される。
「頼んだぞ土門」
「任しといてください!」