逆裁部屋

□嫉妬の相手は
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タラッタータラータラララー♪

「…。」
「…。」

“次回のトノサマンはー…”

ピッーブツンー

「今回も力作だったな。」
「左様で…。」

ソファの隣に座る御剣はオーバーリアクションではないもののその満足そうな顔を見ると、裁判の時のとはまるで違う顔をしていた。

(本当に好きなんだな、トノサマン。)

「やっぱり、私としてはあのーーー、で…なところはやはりーーーこういった………。」
「うん、うん。」

トノサマンの話になると御剣は饒舌になる。世間話は苦手な癖に語るのは平気らしい。まぁ、ここまで熱く語るのは僕の前だけでそこがちょっと嬉しかったりするけど…。
僕は適当に相づちしながらチラッと御剣を見る…と、そこには普段と違う優しい目と目が合った。

(…ッ!)

「む?どうかしたか、成歩堂。」
「えっ?あ…!いや、お前本当にトノサマンが好きなんだと思って。」
「ああ、好きだな。」

ーチクリー
(何かモヤモヤするな、あの目といい楽しそうな顔といい。)

「ふーん、そっか。良かったな。」
「む、すまない。君にはつまらない話をした。」
「いや、別にいいけどさ。」
「いいなら、そんな顔をしなくてもいいのではないか?」
「そんなってどんなだよ。つまらなさそうにしてた?」
「つまらなさそうと言うよりは不機嫌そうな顔をしているぞ、嫌なら言えばいいだろう。それくらいで仲違いするような関係でもないし、話し相手は他にもいる(真宵くんだが)。無理に付き合う事はない。」
「なんだよ、その言い方。僕じゃなくても良いんだったら僕は帰る。」

ソファから立ち上がると同時に腕を捕まれた。

「待て!成歩堂。今の言い方は悪かった、だがそんなに怒るほど嫌だったのか?」

どこか必死にも感じる御剣の眼差しに僕は罪悪感を持った。

(御剣は…悪くない。悪くないはずなんだけど、何でこんなに僕は腹を立ててるんだろう…。)

ーああ、好きだな。ー

きっぱりと言い切った御剣の言葉が頭をよぎる。優しい目と表情で…そこで僕は気づいた。

嫉妬…したのだ、トノサマンに。
御剣にあんな顔や目をさせて、好きだと言わしめた、特撮に。

「あぁ、嫌だよ。」
「…!それは、悪い事をしたな。そんなに君が嫌がっていたなんて…」
「御剣が好きだから。」
「むっ…?話が読めないのだが。」
「嫉妬、したんだよ。トノサマン語ってるお前が本当に楽しそうだったから。」
「…。」
「本当ごめん。悪いのは僕なんだ。」

捕まれた手を振りほどこうとしたとき、それ以上の力が腕を引っ張り僕は体勢を崩して御剣の腕の中に無理やり抱き止められた。
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