逆裁部屋

□そのままが一番
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仕事を終え、帰り支度をするために事務所の戸締り確認をしている成歩堂は今夜御剣の家に行くに当たってちょっとした悩みを抱えていた。御剣とはだいぶ長く恋人として付き合って来た。昼夜関係なく情事も数え切れないくらい重ねて来たし、どこでも致せるように必ずローションの代わりになるクリームをポケットに持参しているのだが、未だに一度もコンドームを使用したことがないのだ。

(どうしたら御剣がゴムを付けてくれるようになるんだろうか。)

お腹が緩くなるのはゴムを付けようが付けまいが同じなのだが、排泄する場所なんだし性病を考えると付けて欲しいのだ。例え僕が健康だとしてもだ。

(あいつよく抵抗なく挿れるよな・・・。)

何度かゴムについては御剣に言ったのだが「いらん。」の一言で片付けてしまい、これ以上言えなくなってしまう事が多い。しかしこれに関しては自分だけの問題じゃなくて御剣の体にだって関わることだし・・・と帰りの時刻を見てまだ薬局がやっている時間帯であることを確認すると、御剣の家に行く途中で買う事を決心した。

「ありがとうございました〜。」

店内から出るとガサゴソと紙袋の中身を確かめる。薄さ0.02mmのモノを買ったのはいいがコンドームも色々種類があってちょっとだけ時間を食ってしまった。そもそも生で何回もしているし妊娠するわけでもないから0.01mmでも良かったか?とか破けたら意味無いし厚い方が良かったか?とか知識不足から悶々としながら歩いていたら直ぐに御剣のマンションの前に着いてしまった。

「鍵鍵っと・・・」

貰った合鍵を鍵口に差し込むと勝手知ったる家にお邪魔する。

「ただいま。」
「む、少し遅かったではないか?」
「あれ?御剣もう帰ってきてたんだ、早いね。」
「メールしたのだが、見てなかったのか。」

スチャッと携帯を見ると一件メールが届いていた。内容は仕事が早く終わったからさっさと家に来いという催促メールだった。

「ごめん、ちょっと野暮用で遅くなっちゃったんだよ。」
「まぁいい、ここで立場話もなんだ入れ。」

お邪魔します、と小声で言うと靴を脱ぎ暖かい家の中へと足を踏み入れる。どうやら御剣も先ほど帰ってきたばかり見たいで鞄はソファの上に上着もソファの背もたれに掛かったままの状態だった。風呂に入るか?と聞かれたから入る。とだけ返事をし、自分の着替えを洗面台に用意しようと寝室へ向かった。
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