逆裁部屋

□君の中に愛を注ぐ。
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御剣の家へと帰宅途中のこと。

「これをやろう。」
「何…これ…。」
「矢張から貰った飴だ。」

御剣から差し出されたのは飴。でもただの飴では無さそうで、濃いピンク色の袋には黒いシルエットのセクシーな女性の柄が書いており見るからに怪しい。

「媚薬入りか何かか…?僕は食べないぞ。」
「なんだ、食べないのか?」
「食べたら絶対大変なの僕じゃないか!」
「なら私が食べようか?そしたら、成歩堂。今夜は朝まで…わかるな?」
「なっななっ!何でそうなるんだよ!!只でさえお前に付き合うの大変なのに…ングツ!?」

どんな飴かもわからないのに御剣は封を切るとヒョイッと成歩堂の口に入れてしまった。成歩堂は喉に行きかけた飴を何とか詰まらせない様にするも、口の中には甘いイチゴの味でいっぱいになった。

「ちょっと御剣!僕を殺す気か!」
「すまない、で?味はどうだ。」
「味は…モグモグ………別に普通のイチゴ味。体に至っては熱くなるようなーーーッ!?カハッ!」
「な、成歩堂!!?」

僕は急に来た体の痺れと目眩に目の前が暗転し、遠くで御剣が僕の名前を呼ぶのを感じながら闇の中へと意識を落としていった。

「んんっ、こ…こは…?御剣の家?」
「な、成歩堂!?大丈夫か?意識はあるか?」
「御剣?僕、どうして…。」

何だか体が若干変な感じがする。声も少し高い感じがするし、僕が御剣を見つめると顔を赤らめてそっぽを向き「あの、だな。その…これは…」と歯切れが悪く御剣らしくない。

「何だよ、お前らしくないな。何が起きてるんだよ!」

顔を近づけて御剣に抗議すると、片手で顔を隠しながらも恐る恐るもう片手で鏡を指した。そこを見ると御剣ともう一人、自分と同じ格好をした見知らぬ女の姿が。女…?

「おんなぁぁぁぁあああ△◎×■▽◆!?!?」

僕はショックどころか放心していた。慌てた御剣が大丈夫だ成歩堂!責任は私が取る!挙式はどこがいい!?とか意味分からない事を言ってるが正直それどころではない。やがてぷるぷると肩を震わせた成歩堂は地を這うような低い声でボソボソと言った。

「御剣…早…や……だ。」
「ん?何だなる……」

「早く矢張に電話だぁ!!御剣ィィ!!!」

あの御剣から「はっ!」って返事の声がしたが興奮状態の成歩堂はさっさとあの元凶を見つけ治す方法を探し出す事にメラメラと燃え上がっていた。
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