逆裁部屋

□吸血鬼に咬まれた夜
1ページ/6ページ

「ねぇねぇ、なるほど君!」
「な、なんだよ真宵ちゃん。」
 
嬉しさを隠しきれないようなニンマリ顔に、嫌な予感が駆け巡るが、そんな事気にも止めず僕の助手は言い切った。

「10月31日のハロウィンは御剣検事のお家で仮装パーティーするからなるほど君も強制参加だよ!」

言い切った彼女の顔はこれ程にもないくらいの満面な笑みだった。パーティーだぁ!とか仮装は何にしようだとかイトノコさんや狩魔冥も来るだとか楽しげに語っていた。その勢いに飲まれ断る事も出来ず、ウダウダ考えてる内に当日になってしまった。

事務所で真宵ちゃんと合流し御剣の家へと向かう、途中で僕は真宵ちゃんに事の経緯を聞き出した。

「前のお仕事でなるほど君が資料借りに警察署に行ってたでしょ?その時に御剣検事と狩魔検事に会ってね話したの。アメリカのハロウィンは凄いって話で私が良いなぁって食い付いたら狩魔検事が御剣検事の家でやりましょって誘ってくれて!」
「それで御剣が許したのか?」

あの御剣が参加するのもだが、家まで提供するとは思えなかった。

「最初は渋ってたんだけどなるほど君を必ず連れてくるのを条件に開催することになったの。」
「待った!何でその事を直ぐ僕に伝えないんだ!?」
「だってまだ裁判の途中だったし、一段落着いてからで良いかなって、ごめんなさい。」
「うっ!まぁ、良いよ。たまにはこう言うのも悪くないかもしれない。」
「ありがとう!なるほど君!それでね、なるほど君の衣装も私準備したんだよ!わぁ、楽しみだな、急ごうなるほど君!」
「へっ!?ちょ…まっ!意義あり真宵ちゃん!って足早いよ真宵ちゃん待って!」


そうして御剣の家に着くなり、フランケンの格好したイトノコ刑事が二人を出迎えてくれた。

「よく来たッス!御剣検事も狩魔検事ももう居るッスよ!」

ビシィッ!と効果音が付き添うなほどのイトノコ刑事に(御剣の家なんだから御剣が居るのは当たり前じゃ?)と内心突っ込みを入れ、着替えるならこの部屋を使うッス!と真宵ちゃんを暖房の効いた部屋へ、僕は風呂の脱衣場に入れられた。

「さ、寒い!」

さっさと着替えようと真宵ちゃんから渡された衣装袋を手に取ると、何やら重苦しい感じの黒い生地が…袋の底には靴下と聖書と十字架のネックレス。どうやら神父の格好らしい。
寒いし変な衣装(女装だとか)ではない事に安心した成歩堂はとりあえずぱっぱっと服を脱ぎ着替えていく、しかし途中で無い物に気づく。袋を確かめてみても無い。逆にその替わりと言わんばかりに妙に長い靴下だけが入っていたのだった。

「えっ?ズボンは…(汗ダラダラ)」

無いものを探すも袋にはそれしか入ってない。モタモタしていたら急にドアから声がした。

「何やってるッスか!あんたの助手はもう着替え終わってるッスよ!」

そんなイトノコの声にハッとなり、とりあえずズボンは無くても上着の丈が充分長いので大丈夫だろうと靴下を履いて急いで出ていった。

「おっ!なるほど君!神父さんの衣装凄く似合ってるよ!」

手を合わせてうんうんと頷く真宵ちゃんはどうやら魔女の格好らしい。紫色をメインにした可愛いらしい衣装と勾玉がついたステッキを持つ何だか不思議な組み合わせの衣装だった。しかし、衣装の感想より直ぐ抗議をする。

「ま、真宵ちゃん!ズボンが無かったんだけどどういう事なの!?」
「あー…ズボンはね、間に合わなかったの!だから代わりになりそうなニーソックスが入ってたでしょ?」
「いやいやいや、代わりって、ズボンと靴下じゃ全然違うよね!」

そうこうしている内に御剣達の居るリビングへ向かうと、入るなりそこには色とりどりの飾りや料理、ジュースからお酒までがびっしり置かれていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ