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□【02 出会いは突然に】
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【出会いました】

「なぁ、新歓っていつか知ってる?」

ポッキーを口にしながらアキラ。

「確かぁ、1ヶ月後だっけ?あ、ポテチ開けていい?」

お菓子ボックスの中からポテチを取り出しながらダラダラと喋るユウスケ。

時の流れは早いもので、『軽音楽同好会』が出来てからもうすぐで1年になる。

「そう。俺たちの今いるここは『軽音楽同好会』なわけです。はい!ここでユウスケくんに質問です!なぜ、俺たちは同好会のままなのでしょうか!?」

「部員が集まらないからでーす。あ、紅茶終わっちゃった、アキラのもらっていい?」

ユウスケを睨みながら自分の紅茶をそっと差し出す。

「なんでそんなのんきなわけ!?このままだと廃部だよ?はい!ここでまたまた質問です!現在『軽音楽同好会』に所属してるメンバーは何人でしょう?」

「はーい!僕とアキラの2人でーす。」

そう、約束の新歓まであと1ヶ月をきっている。
それなのに現状、部員は2人のまま。

「はーい!ここで逆に僕から質問です。なんで人集まらないかわかる?これまでに何人も興味持ってくれた人いたよね?」

「お前が派手で目立ってうるさいし、不良とかとも仲良くて、授業ちゃんと受けないし、なのに頭いい腹立つやつだからだろ??」

「ブッブー残念です。アキラくんのコミュ障が酷いのと、あー、言い出したらキリないので、結果お前がバカだからだ!」

この、約1年の間で『軽音楽同好会』はかなり有名になっていた。
ユウスケは校内で名前を知らない生徒はいないくらいで、先輩に絡まれても持ち前のトーク力や弱みを握ったりして、誰も逆らう人はいなかった。
逆にアキラはその目立つユウスケとなぜ仲が良いのか謎である意味ヤバいやつかもしれないと噂になったり、根暗すぎて怖いと言われたり、話してる声を聞いたことがある人はいないと噂になっていた。

要するに、そんな悪目立ちしている『軽音楽同好会』に近づく生徒はなかなかいない。
近づいたとしても、ついて行けなく、皆離れていった。
そんなわけで、『軽音楽同好会』は今も2人だけで活動していた。
主にお菓子を食べて喋るだけ。
気分でお互い、音楽を奏でるだけだった。

「だって、ユウスケといると目立つんだもん!目立ちたくないの!俺は!!」

「ギタボやるんだろ〜〜?中学もギタボにMCに目立つ役割ばっかで、耐えきれず、最終的にはMCは捨て、フードかぶってゴーグルみたいなのつけてたよね。あれでよくギタボ出来てたよね〜〜。」

懐かしい〜〜と、笑いながら話すユウスケ。
それを真っ赤になりながら睨むアキラ。

「あ、あんなこともうしないし!!俺は!ロックバンドやりたいの!めっちゃかっこいいやつ!!だから…」

「だから、部活にするには最低でもあと3人見つけなくちゃならないわけだ。そしてしかも!新歓はあと1ヶ月後!練習など考えたらもう僕たちには時間がないのだ!」

アキラの言いたいことを少し笑いながら代弁するユウスケ。

「わかってるのにポテチ食ってる場合かよ!!!」

「でも、1年近く部員増えてないのに急に3人も集まるかねぇ。」

「集めるの!俺の高校ライフが終わる!てか高校行く意味がなくなる!!」

もはや半泣き状態で立ち上がり机を叩くアキラ。
それを見たユウスケは、仕方がない、という顔をしながら切り出す。

「まぁ、当てがないわけじゃないんだけど…」

「え?いるの?入ってくれる人!?」

「お前、どんなやつが来ても受け入れるな?これは本当の最終手段にとっておいたけど、仕方ないなぁ。」

「えぇ、あんまり怖くない人で…いや、この際ワガママ言ってられない…!あ、ちゃんと楽器できる人なの??」

そう。
バンドを組むにはメンバーの数も大事だが、楽器がそれなりにできるかどうかにかかっている。
せめて基礎知識と簡単な曲くらいできる人間でないと、さすがに新歓までに合わせるのは難しいと思う。

「とりあえず、僕が声かけるのは1人。そいつはドラマー。腕は確かだよ。」

はぁー、とため息を付き、携帯をポッケから取り出す。
小さな声で、あいつに借り作りたくなかったなぁ。
ユウスケのことより、ドラマーが入ってくれることに喜びを隠せないアキラ。
プルルルル、と呼び出し音がなる。



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